第21話

 株でも不動産でもフルボッコにされ、家を飛び出した僕は……どういうわけか。

 一瞬で居場所を三人に測定され、古海が買い取ったという僕の行きつけの漫画喫茶の中で三人詰め寄られていた。


「私のこと嫌いになっていないよね?」


「和葉くんが私たちを嫌うはずがないですよね?」


「……和葉は、私のことが好き」


「なぁ、そんなことよりいい加減僕に盗聴器とGPSつけるの辞めてくれない?取っても取ってもつけてくるじゃんか。君らにつけられたそれらを売るだけで僕はもうちょっとした金銭を得られたよ?」


「私はわかっているからね。あの発言は嫌なことがあって思わず出ちゃった言葉でしかないって」


「なんてあるあるですものね?」


「……和葉は、私のことが好き」

 

 三人は僕の話に一切目を離さず、


「というか、もう許したやんけ」


 そんな彼女たちを前に僕も彼女たちの話に合わせることにする。

 見事に失敗し、負債を負った僕であるが、既に三人から一千万円を貰うことを条件として三人を許した。

 

 今回の一件で僕が事業で失敗した分の負債を三人に負担してもらい、それ以上の金銭を受け取る……い、いやこれ以上考えておくのは辞めておこう、うん。

 着実に沼に陥れられている気なんてしない、別に手ならいくらでもある。


「そんなことどうでも良いの。好きって言ってちょうだい」


「私たちのこと好きですよね?」


「……和葉は、私のことが好き。よぉーし」


「何言っているの?お前ら」

 

 僕は縋るような視線を送ってくる三人の言葉を一蹴に帰す。


「僕がお前らのことが好きなわけないじゃん。というか、何なら嫌いよりまであるぞ?好感度としては玲衣よりも下だ」


「「「……ッ!?」」」

 

 僕はバッサリと彼女たちを切り捨てる……こいつらはなんで僕に自分たちが好かれていると思っているのだろうか?


「思いあがるなよ?持ち主の手を噛む財布が」


 僕にとって結局のところ三人は財布でしかない……少し過ごしたくらいで僕の心は変わらんぞ?

 

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