第20話

 ヤンデレ娘三人の扱いにも慣れ、何とか四人での共同生活をこなしていた僕はある日。


「はぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああ!?」


 家の中で絶叫を上げていた。


「……んなっ、……なっ、にゃぁぁぁぁああああああああああああああああ!?」

 

 その理由は何か。

 僕が投資していた企業の失敗が相次ぎ、僕が買っていた不動産の価値も急落していたからだ。


「……お前らッ!!!」


 さらっとニュースを流し読みし、現状を把握し終えた僕は顔を上げて自分の前にいる三人の方へ視線を向ける。


「何してくれているの!?」


 僕の失敗の原因……それは古海達三人であった。

 彼女たちの企業が僕の投資先の企業を悉く叩き潰していたのだ。

 僕が安牌なところは一旦行かず、宝くじ感覚でベンチャー企業にばかり投資していたこともあってほとんど僕の行った投資は無駄に終わった。


「だ、だって!仕方ないじゃない?私たちとしては和葉に金を稼がれると困るんだもん」


「そうです……和葉はお金を稼いだりなんてしてはいけないんですよ?私たちに一生養われていればいいのです」


「……みんな、幸せ」


「……」


 よく考えてみればそうだったわ。

 こいつら、ワイの味方ちゃうやん。ゴリゴリに敵やんけ……三人同士も敵ではあるが、三人にとって僕は絶対に入手しなければならない商品。

 僕を完全に手にしてから三人で所有権を争えばいい……三人にとって最優先なの僕を叩き潰すことじゃんか。

 めちゃクソ敵やん、こいつら。クソ敵やんけ!クソったれ!


「……た、ただで済むと」


「申し訳ないけど今の和葉に負ける気はしないかなぁー」


「……認めたくはありませんが、私たち三人が協力することで抜群の力を発揮します。大企業であっても簡単につぶせぬと思いますよ?」


「……うんうん」


 僕の負け惜しみは既に成功を収めている勝ち組三人衆によって完膚なきまでに叩きのめされる。


「ちくしょうッ!」

 

 三人が敵対しているときならともかく、ガッツリと協力している中で僕の出来ることなんてない。

 所詮、僕は女などから金を巻き上げていただけのクズ野郎でしかないのだ。


「お前らなんて嫌いだーッ!!!」


「「「……ッ!?」」」

 

 僕は逃げるようにして家を飛び出し、この場から遁走するのであった。

 

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