第19話

 僕の言葉を受けてブチ切れる秋斗。


「いや、そこまでブチ切れられても本当に僕が顔が良い……これが一番の理由なんだよ」

 

 だが、僕の言っていることは間違いではないと思う。

 所詮この世界はルッキズム。

 男であろうが女であろうが両者変わらず等しく見た目は良ければ良いほどありとあらゆる面で有利になる……イケメンでその恩恵を十分に受けている僕だからこそ思う。


「イケメンがナンパするのと、ブサイクがナンパするのとでは何もかもが違う。僕は初対面の段階で他者に圧倒的な好印象を受け付けることが出来る。顔のおかけで。そもそも好感度が高いから、あとは細心の注意を払って好感度管理して徐々に依存させていけば僕のようなクズでもモテるようになる……優しさとモテるはイコールでもないしね?大した話じゃない」


「まぁ、確かにそんな間違いでもないかもね」


 僕の言葉に真奈が苦笑交じりに同意する。


「えっ……?」


「だろう?この世の中結局のところ顔。僕は顔だけでモテていると言っても過言ではない」

 

「……確かに秋斗の顔では和葉に対抗するのは難しいかもしれんな」

 

 そして、堅物である凛までもが僕を後押ししだす。


「嘘だろ!?間宮!?」


 それを受け、秋斗が項垂れる。


「別に秋斗の顔が悪いわけじゃないの?和葉の顔が良すぎるだけ……芸能人であっても全然おかしくないほどの美形。圧倒的なイケメンだもの。こればかりはどんなクズであっても認めざるを得ないわ。そもそも結構和葉がクズってことは知れ渡っているけど、和葉の女子に人気は高いからね?」


「フォローになってねぇよぉ……なんでこいつの女子人気がたけぇんだよぉ」


「イケメンでクズは逆にモテる要因にもなったりするのよ」


「……くそぉ。この世の中間違っている」

 

 秋斗に対してフォローになっていないフォローを加える真奈。

 だが、そんな真奈の発言で僕が気になったのは秋斗のことではない別のこと。


「あっ!僕を褒めるのは……まぁ、良いや。ご愁傷さま」


「えっ……え?いきなり何?」


「いや、あいつら三人はきっと僕に近い人間である真奈が僕のことを褒めたのを第六感で感じ取ったはず……この後詰められるなって思って」


「いや、そんなバカみたいな話があるわけ……」


「相手は犯罪行為も辞さないヤンデレ集団。ご愁傷様」

 

 僕は真奈の方へと手を合わせ、頭を下げるのだった。


 ■■■■■


 放課後。

 数時間に渡って女の子三人に囲まれて問い詰められ、半泣きになっている女子の姿があったとかなかったとか……放課後には既に家の方に帰っていた僕の知る由もない話ではあるが。

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