第17話
愛梨が買ってきた大量の刺身と用意した酢飯と海苔。
それらを使って手巻き寿司パーティーをしながら、ダラダラと四人で雑談を繰り広げていた。
「んで?聞きたかったんだけど、なんでお前ら三人揃って僕の家に入り込んできたの?どう考えても結託しているようにしか見えないが、それにしてもバラバラ。何なの?」
ある程度腹が膨れてきたところで僕は一番聞きたかった疑問を三人へと投げかける。
「……ほんとは叩き潰して、から」
「本来であれば他の二人を蹴落として一人になった段階で会いに行こうと思っていたのよ」
「ですが、ここ最近。和葉くんが株や不動産に少しずつ手を出し始めた段階で私たちは方針を転換しました」
「あぁ……なるほど。つまりは僕が金銭を必要としなくなることを恐れたわけか」
「……そう」
「私たちの価値なんてお金だけでしょう?もし、和葉がお金を手にしたら私たちを受け入れてくれなくなってしまう……」
「まぁ、そうだな」
僕はあっさりと古海の言葉に頷く。
「……」
「……」
「……」
そんな僕の言葉を聞いた三人の表情がごっそりと消え、僕の方へとハイライトのない瞳をを見せてくる。
「要はまだ僕が金が必要とするうちに三人で近づき、何とか二人を出し抜いて僕を手に入れようとしているわけだな。君たちは」
そんな三人を無視して僕は話を続ける。
「そうね」
ケロッと元に戻った古海が僕の言葉に頷き、他の二人もそれに続けて肯定する。
「なるほどねぇ……」
僕に逃げられないようにするため三人で最低限の協力はするが、最後に微笑むのは私一人だけ……なるほど。三人もただただ喧嘩するだけではなくなっているようだ。
「つまり僕の勝利条件は相争う三人が勝手に傷ついていくのを利用して大金を得ればいいわけだな」
「「「……ッ」」」
僕の言葉を受け、体を震わせる……適当に釘を一本打っておけば争いもそこまで激化しないだろう。
こいつらは犯罪行為も辞さないヤバい奴らだが、最低限度の良識と正常に判断出来るだけの知性は辛うじて残している。
三人で争い続けていたいずれ、僕にすべてを食われるかもしれない中で大規模に争い合うことは出来ないだろう。
「ということでお前ら三人のこと一旦受けいれてやるよ」
「は?」
「……ん?」
「えっ?」
「その代わりに喧嘩は禁止。そして、僕へと一人ずつ月100万払ってもらうよ」
年俸一億の女三人衆……一時的な財布にするなら最高の三人だ。
僕はこれまで抱えていた多くの女性たちと縁を切り、三人を財布とすることに決めた。
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