第15話

 担任の仲介によってようやく沈静化した僕と愛梨の口論。

 とりあえず愛梨は保健室へと連れていかれ、僕は教室の方に残ることとなった。


「はぁー、めんど。これ、後二人も処理する必要があるんでしょ……いや、別に愛梨のことは処理しきれてわけじゃないし、普通に三人を処理する必要があるのか。

 

 一限目の授業は美術。

 授業開始10分程度で課題をこなした僕は手に持ったシャーペンを回して遊びながら愚痴をこぼす。


「さ、三人もいたの?」

 

 その言葉に反応したのは僕の隣に座って課題に取り組んでいる玲衣だ」


「そーだよ、三人もいたから小学生の頃の僕はあの子たちを捨てたんだし。三人とか対処しきれんわー」


「昔の和葉はやっぱり今と比べたらそんなだったの?……確か今、お財布にしている女性の数ってなんか十人を超えているんじゃなかったけ?」


「別にあいつらは未成年淫行以外の犯罪を犯さんからな。病み度の格が違うし、それに加えて今、僕の持っている女は全員一時的な財布……小学生の頃は一時的な財布ではなく、永久的な財布を欲していたからね」


「あー、なるほど」

 

 僕の言葉に玲衣が頷く。


「さっきから話している内容が下衆すぎるのよ」

 

 そんな僕と玲衣のやり取りを聞いていたクラスの少女、鈴木真奈は課題に取り組む手を止めてこちらへと自然を送ってくる。


「うちのクラスに二人のようなクズ野郎がいるってのが信じられないわ」


「え、えぇ!?ぼ、僕まで!?僕は……和葉くんのクズっぷりに慣れちゃっただけだよぉ……そ、それでも和葉くんだって結構マシなんだよ?ギャンブル中毒ってわけでも、ヤ二カスというわけでもないし……薬も取り扱っていないしね」


「比べる先が最悪の中の最悪だって言う事実だけでもう十分アウトよ」


「ひどいわぁー、僕とかちょっと知恵絞ってお金を集めているだけなのに」


「そんなんじゃないでしょうよ」

 

「いや、それは違うと思うなぁー」

 

「……玲衣?」

 

 サクッと僕に反旗を翻す玲衣へと僕は疑いの目を向け……それから逃れるようにして玲衣は視線を外す。


「……まぁ、もう別に和葉がクズなのは良いわ……でもその代わり。うちのクラスにまで修羅場を持ち込まないでね?」


「あっ、それは多分無理だよ?何なら増えて更に混沌したことになると思う」

 

「……は?」

 

 僕の言葉に、真奈は怒りの声を漏らしたのだった。

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