第12話
クラスメートたちが固まっている間も僕と愛梨の言葉の応酬はとどまることを知らない。
「それは愛ゆえの行為です」
「愛って何もかもを肯定する魔法の言葉じゃないぞ?というか割と結構の分野で否定される言葉だぞ?ストーカーが容認される世界とか世の女性が泣かされる世界が来るぞ?」
「何を言っているんですか?世界には男性が女性を拉致してそのまま強引に結婚させ、種付けセッ〇スを敢行するような文化を持ったところもあるんですよ?それと比べたら全然良いじゃないですか」
真面目な顔をしていきなりとんでもない下ネタぶっこまなかったか?こいつ……まぁ、別に良いけど。
「ここは日本や」
「そうです!日本ですよ……他人を不幸に陥れての恐喝。相手にも気づかせぬほどの完璧な詐欺。心の弱った女性を手玉に取り、多くの風俗店で働かせ、小遣い稼ぎとしてその代金のほぼすべてを徴収していくありさまは本当にひどいと思いますよ?ましてや一回自分と体の関係を持たせて相手に犯罪行為をさせることで相手を完封する様は怖気が走ります」
「それはほいほい僕の誘いを乗る阿保どもが悪いやん」
僕は自分の行為を犯罪者の論理で正当化する……この世界は残酷な資本主義なんやで?情弱が悪いよね。
薬に狂った情弱たちが地面に転がるアメリカよりははるかにマシだと思うんだよね……日本は優しいし、そもそも僕も基本的に他者からすべてを奪うような真似はしないし。
「誘いに乗せるよう誘導しているのは貴方じゃないですか」
「騙されるアホが悪い」
「和葉くんははっきり言って人類のクズ。多くの人に災禍を振りまくのを止めるため、私が独り占めしてもいいじゃないですか。みんな幸せになれますよ?」
「犯罪者にも人権くらいはあるんだぞ!僕の幸せは?」
「良いじゃないですか、和葉くんは特に何も欲していないでしょう?ただ望むのは働かないこと。私の年俸は既に一億を超え、更にその規模は拡大し、利益も順調に伸ばしています。一生養ってあげます。働かずに私と一緒にずっと暮らすだけで十分じゃないですか。性欲だって私一人で満足させてみせます……えぇ。いつも和葉くんとの様々なシチュを妄想し、日に数回、多い時には十を超えてオ〇ニーしている私であれば和葉くんの性欲も満たせるという自負があります!!!」
日に十を超える。
それはすごすぎじゃないだろうか?先に僕はかれそ……いや、そこちゃう。
全然そこじゃない。愛梨の性事情とかマジでどうでもいい。大事なのは遥かにその前……え?
「ん?ちょっと待って?それは話が変わってくるぞ?」
僕は愛梨の言葉を止め、慌てて口を開く……ん!?一億!?年俸一億と言ったか今ぁ!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます