第10話
神楽との晩飯を終えた僕は……その後、しっかりと神楽をパシりにさせている間に逃げ、夜の街を徘徊している中で偶然出会った僕のセフレの家で一晩を明かし、高校の方へとやってきていた。
「……大丈夫なの、家を陣取っているという女の人たちは」
結構早めに学校へと登校し、読書に勤しんでいた僕の元についさっき登校してきたばかりの玲衣が話しかけてくる。
「さぁ?僕も家に帰ってないからわからん……けど、多分ダメ」
僕は玲衣の言葉に首を振って否定する。
「一日二日で諦めれるような人たちじゃないと思うし、具体的な対抗策を思いつくまで適当なところ転々とするわ」
「何か困ったらいつでも頼ってくれて良いからね?」
「ありがと、助かる」
玲衣の言葉を聞いた僕は彼へと感謝の言葉を口にする。
「うん……!本当に、いつでも頼って良いから。遠慮しないで……遠慮しない関係こそが友達だよね!」
「うん、ありがと。でも一先ずは大丈夫だと思うからありがと」
僕は本を閉じ、軽く玲衣と言葉を交わしている。
そうしていると、朝のHRの開始を知らせるチャイムが鳴り響き、教卓の前に立っている先生が手を叩く。
「チャイム前ちゃくせきー!」
「ごめんなさーい」
僕たちのクラスの担任の先生である大萱晴斗先生の言葉を受け、クラスの陽キャたちが軽い声で謝罪を口にし、各々席へと戻っていく。
「よし、今日はビックニュースあるから先にそれを済ませるぞ……ということで俺の前置きなんて誰も興味ないだろうし、入ってどうぞ」
「失礼します」
教室へと入る扉を開け、部屋の中へと入ってくるのは一人の背の高い少女。
「おぉ……」
「でっか……」
「きれい……」
その少女を前にするクラスメートたちが各々の感想を独り言のように呟く中。
彼女は黒板へとチョークで自分の名前を書いたのちに口を開く。
「どうも初めまして皆さん。愛梨です。よろしくお願いします」
クラスの中心で深々と頭を下げる少女……。
「来ちゃいました、和葉」
一度下げた頭を上げてまず真っ先に僕の方へと視線を向け、そう声をあげる少女。
「……は?」
そんな少女、転校生としてやってきた愛梨。
絶対に僕が逃げられないところに転入生として同じクラスに配属された彼女を前にして僕は呆然と言葉を漏らすのだった。
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