第2話
日が徐々に陰り、良い子のみんなは家に帰る時間となってくる夕方。
「ふひひ、五百万に毎月五万のお小遣いゲットぉー」
無事にいじめの主犯格であった男の両親から大金をむしり取ることに成功した僕は笑みを漏らしながら口を開く。
「ふふっ、良かった、ね」
僕がいじめの主犯格の男の両親と交渉している間、一言たりとも喋らずにただ僕の言葉に頷くだけの存在となっていた玲衣が僕に向かって微笑みながら口を開く。
「うん、良かったわー。お金なんていくらあっても困らないからね……前もって決めていた通り全額僕のもので良いよね?」
「うん、大丈夫だよ、僕ならこうして両親を脅すどころか先生に言うことも出来ず、ずっといじめられ続けていただろうだから、そもそもいじめを止めてくれただけでみも……いや、ずっと仲良くしてくれるだけで十分、だから」
「ふひひ。もーらい。これだけあれば色々出来る……こう、なんとか高校生のうちに働かずともお金が永久に入ってくるシステムを構築で出来ないかなぁ……不動産とかに手を出そうにも金がなぁ」
僕は自分の手元に転がり込んできた大金をどう使おうか考えながら共に
「……お金はあげるから、これからも仲良くしてね?」
「うん、良いよ。別に僕だって本当に仲の良い友達がいるわけではないしね……仲の良い純粋な友達はちょっと欲しかったからこっちも大歓迎だよ」
「ふへへ」
「とりあえず家までは送っていくよ……玲衣の家って確かここら辺だったでしょ?」
「え!?わざわざ良いよぉ」
「玲衣ってば男のくせに見た目女にしか見えんから、付き添いくらい必要でしょ。今の僕は気分が良いからね……特に意味もなく街を歩きたい気分なんだ」
「そ、そう……じゃあ、お願いしよっかな」
「ん。合点承知の助」
僕と玲衣はついさっきまで大の大人を脅していたとは思えぬほど平和に、ごくありふれた世間話に花を咲かしながら街並みを歩いているところだった。
「ふふふ。久しぶりだね、和葉」
そんな最中、
僕は道のど真ん中にずっと立ち尽くして一人の少女から話しかけられる。
腰まで伸びる黒いきれいな髪に髪色と同じく黒いきれいな大きな瞳。
出過ぎず、足りなすぎず、絶妙でバランスの良い体つきをしている絶世の美少女と言えそうな女の子……ふぅむ。僕の金づる候補の中にこんな人間はいない。
うん、良し。
「お前、誰だよ。邪魔なんだけど、退いてくれる?」
金づる候補外とか興味なし。
僕は目の前に立ちふさがる少女のことを一瞬で切り捨てた。
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