第13話 女剣客、互いの目的の地を散策する
「本日はお越しいただきまして、ありがとうございます。 ギルド申請を受理致しました」
あれから1週間ほどして、アイリスが出したギルド申請が完了したと連絡がきたので、シオンと一緒に新宿にある『ダンジョン管理課』まで足を運んだ。
「ギルド名に間違いがないか、ご確認をお願いいたします」
受付の方がタブレットを差し出され、内容を確認していく。
「うん、ギルド名もちゃんと『流星光底』になってるね」
タブレットに正しくギルド名が書かれていたことに笑顔で返すシオン。
メンバーの一覧も名前が間違っていないか、確認をする。
ちなみにチーム名の由来は実際にある四字熟語らしい。
あの後、すぐにシオンがネットで探してきたものだ。
どうやら私の戦い方から連想したと言っていたが、他にも思いつかなかったためそのまま使うことになった。
「問題ないようでしたら、お二人のライセンスカードをご提示お願いいたします」
私とシオンはライセンスカードを職員の人に渡すと、タブレットのカメラに映し出すと、カードの裏面のギルド記載欄に先ほどの名称が刻まれていった。
「すごい……!」
カードの裏面を見て隣にいるシオンが驚きの声を上げていた。
「大変お手数ですが、メンバー追加の際にはこちらまでお越しください」
「……ありがとうございます」
対応してくれた職員にお礼を述べてからダンジョン管理課を後にした。
「うぅーん! 疲れたぁ!」
外にでると、シオンが天を突くように両腕を上に伸ばしていた。
つられるように私も腕を伸ばす。
「あ、オルハさんこの後、何か用事ありますか?」
「……特にないかな」
これが終わったらすぐに家がある町田に戻ってレポートをやろうと思っていた。
今から帰ればお昼ぐらいなので、あの甘味処に行ってお昼を食べてもいいかもしれない。
「それじゃ、ちょっとお出かけしませんか!」
シオンが私の前に立ち、目を輝かせながら私の顔を見ていた。
「……どこにいくの?」
「すぐ近くですよ!」
「……まあ、近くならいいけど」
住んでいる町田市内も人が多いが、それを上回るぐらい新宿には人がたくさんいる。
できることなら、人混みが多いところは避けたいところだけど。
「それじゃいきましょ! こっちですよ!」
「……ちょ、ちょっとまって!」
シオンに腕を引っ張られながら連れてこられたのは、ダンジョン管理課がある都庁の道路を挟んだ
反対側にある大きな公園だった。入り口には『新宿中央公園』と書かれていた。
「……新宿中央公園、もしかしてここって」
「新宿ダンジョンがあるところですよ」
そう言ってシオンが公園の中心にある建物を指差していた。
そこにはのんびりとした雰囲気と真逆の威圧感を醸し出した銀色の石で建てられた洞窟がある。
「……新宿ダンジョン、ここなんだ」
私は建物に引き寄せられるようにダンジョンの入り口へと足を踏み入れようとするが、見えない壁のような物に遮られてしまい、先へと進むことができなかった。
この新宿ダンジョンに行くには、2番目の『下北沢のダンジョン』の踏破が必須。
仕方なく引き返すと、ダンジョンの周りには花やお酒の缶が囲うように置かれていた。
「これはこのダンジョンで亡くなった人に手向けられたものですよ」
眺めているとシオンが説明してくれた。
「……亡くなった人って新宿ダンジョンで?」
「そうですよ、あそこに亡くなった人の名前の刻まれた慰霊碑があるんですよ」
シオンが指さしたのは洞窟から少し離れたところにある黒い板のようなが建てかけられた場所。
そこへ行くと、分厚い黒い板を埋め尽くすように人の名前が刻まれていた。
「……随分詳しいのね」
「アヤ姉……お姉ちゃんが行方不明になったって聞いた時、確認をしに来たことがあるんです」
「……そうなんだ」
「ここに書かれるのは亡くなったのが確認できた人だけなんです」
そう言ってシオンは慰霊碑に刻まれた名前を文字で追っていく。
「うん、アヤ姉の名前は載ってないからまだ可能性はあるってことだね」
そう言って、シオンは胸を撫で下ろす。
「どんなに管理局が色々と対策をしていても、新宿を探索する人の死亡者の数は減らないみたいなんです」
それはよくニュースで耳にすることだった。
最近もS級ランクのギルドのメンバーがモンスターの襲撃にあって数名が亡くなったとニュース番組で報道されていた。
「でも、ここに書かれていなければ、まだ希望はあるってことですからね!」
そう話すシオンは少し不安な表情を浮かべていた。
「……そっか、ここになければまだ希望はあるんだね」
そう呟くと私も慰霊碑に刻まれた名前を指で追っていく。
「オルハさん?」
私の行動を見てシオンが驚いていた。
「……うん、載ってない」
私もシオンと同じようにホッとして胸を撫で下ろす。
「そっか、オルハさんのお父さんも新宿ダンジョンで……」
その様子を見ていたシオンが私の顔を覗き込むように見ていた。
「……うん」
新宿ダンジョンへ行けるようになれば、お父さんを探すことができる。
——むしろ、そこからが本番とも言える。
「それなら、早く目前の下北沢ダンジョンを踏破しないとですね!」
シオンはいつもの明るい表情になってガッツポーズを取っていた。
「……そうね」
彼女の言う通り、まずは目下のダンジョンを踏破に注力していこう。
その前に少しやらなければいけないことがあるのだが……。
近くのコンビニで買ってきた飲み物やお菓子などを慰霊碑の前にお供えをして、最後に手をあわせてから、新宿駅へ向けて歩きだした。
「あ、そうだ! せっかく新宿に来たんですし、いろんなお店見ていきましょうよ!」
駅へと向かう最中にシオンは立ち止まると先ほどと同じように顔を見上げて私をみていた。
「……人が多いからやめとく」
「ちなみに、新宿にはおいしい甘味処のお店が——」
「……シオン、案内して」
「って!ショッピングが先ですよ!」
シオンに腕を引っ張られながら新宿南口と西口付近をウロウロする羽目になってしまったのは言うまでもない。
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