第27話
無事に祓魔士へと任命された僕と真倉さん。
そんな僕たちは早速とばかりに零さんから祓魔士と妖についての詳しい授業を受けていた。
……なんで今なんだ?普通に考えて初任務を行うよりも前にやるべきだろう。任命もそうだが。
まぁ、色々あること察せられるが、その被害を被る側としては何とも文句の一つや二つは言いたい話である。
「まず、大前提として知っておいて欲しいのは我々の仕事には命の危険があるということです。お二人……少なくとも佐奈殿は間違いなく巻き込まれた者」
おい、待て?なんで僕を省いた?
僕だってちゃんと巻き込まれたといえると思うのだけど?
「私が必ずや御守り致す、と言いたい所ですが、この世界に絶対はなく、万が一がないとも言いきれません。お二人には真剣に覚悟を持って仕事へと取り組んで欲しいです」
「……はい」
零さんの言葉に真倉さんが神妙な面持ちで頷く。
「それではまず妖について話していきましょう……まず、彼らの存在について。彼らはこの世界に住まう生きとし生きるものの怨念と成仏しきれなかった世界に彷徨う亡きもの魂によって生まれます」
「えっ……?」
最初の説明。
妖の存在についての話で僕は早速疑問と驚愕の声を上げる。
「人々の怨念と成仏しきれなかった人の魂……?」
そんなものを僕は食べていたというの?やべぇの食べているじゃんか、僕。
「逆になんでできていると思っていたの?」
「いやぁ、そりゃもう美味しそうな何か……人の不幸は蜜の味とも言うか」
人の不幸は蜜の味。
そんな言葉もあるのだ。
人々の怨念に成仏しきれなかった哀れで不幸な魂の味などそれはもう絶品としか言えないような蜜の味であろう。
「その思考はそこら辺で止めておきましょうか。何かちょっとだけ怖いです」
「えぇ……僕をなんだと思っているの?」
僕は自分を良識ある一般人であると自負しているのだが。
学校の先生からも問題児扱いされたことなどないし。
全くもって不本意である。
「そんなことよりです。話を続けますね?」
そんな僕の様子を無視して零さんは再び話を続けた。
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