第26話

 祓魔士統括たる陰陽頭、卑弥呼。

 日本国総理大臣、岸川文麿。

 日本国防衛大臣、玉来有朋。

 日本国外務大臣、今野博之。

 現代に残る唯一の財閥、安井秀樹。

 

 テレビを持たぬ僕でも知っているような大物が五人。

 その他有力者……と思われる人たちがずらりと。

 まさに事の重大さを示すかのような多くの人の集まり、その中心で。

 真倉さんと有栖さんと共に僕は頭を垂れて座っていた。


「さて、と……まずは何から話していくべきかのぅ」


 部屋の最奥。

 簾の向こうに座り、姿の見せていない卑弥呼という色々とツッコミどころのある名を持った女性が口を開く。


「まずは土御門有栖への礼を。よくここまで二人を見守ってくれた。大儀である」


「ありがたき幸せ」

 


 いつもの不良モードではなく、まさに巫女として相応しい態度で有栖さんは卑弥呼へと頭を下げる。


「して、あとの二人であるが……まずは真倉殿から。申し訳ないのだが突如として妖が見えるようになったという過去例にない事象ゆえ、その対処法とその解決方法を得るのは困難であろう。そして、我ら祓魔士と妖の存在は公の場では不文律。真倉殿には強制的に祓魔士となってもらう」


「はっ……」

 


 こうなるということは予め有栖さんから真倉さんは聞いていた。

 それ故に大きな驚きもなくそれを受け入れる。


「それで……次は唯斗殿の話であるが。まずは聞こう。何を望む?」


「自分としては妖を食すのを邪魔されなければなんでも」


 僕にとって重要なのはそれだけである。


「それを譲るつもりは?」


「まったく」

 

 例え日本と敵対することになろうともそこだけは譲れない。


「そうか、ではそれを認めよう。しかし、我らに対して協力すること、命令を尊重すること、祓魔士の一員になることがその条件である。飲めるか?」


「問題なく」

 

 僕は卑弥呼の言葉に頷く。


「であるのならばよかった。それでは陰陽頭……遥か古き真名を受け継ぎし我が今ここに二人を祓魔士へと任命する」

 

 卑弥呼は堂々たる態度で言葉を発したのだった

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