第25話
真倉さんの家で僕と真倉さん、有栖さんの三人で奇妙な共同生活を初めてから早いことでもう一週間。
ここまで一切上からの連絡もなく、放置されていた僕たちは一週間経ってようやく本部に来るよう連絡が来ていた。
「そのもぐもぐ美味しそうに妖を食べるのなんとかならんの?」
呼ばれたので向かう本部。
そんな本部へと向かう道のりで。
適当に拾った妖をパクつきながら進む僕へと有栖さんが苦笑しながらそんなことを告げる。
「え?」
「一週間ほど一緒にいて……マジで頼むテメェはどこまでも平凡な餓鬼でしかなかった。本当に無茶苦茶やって笑いながら妖を食べるイカレポンチだと思えぬほどに……だからよぉ、それ辞められんか?」
「えぇー、嫌なんだけど」
「そんなもん食わなくともうちがうめぇもんいっぱい食わせてやるぞ?食料面で唯斗を困らせることないと誓うぜ?」
「いや、普通に妖って美味しいんだよ」
「……この一週間で食べてきたものより?」
「うん、こいつはこしあんがぎっしり詰まった美味しいまんじゅうみたいな味がするよ?」
「へ?そんな味してんの?不味いのではなく?」
「うん、というか度々僕は美味しいって言っているじゃん!信じてくれてなかったの?」
「いや、てっきり唯斗の家がぁ……」
「僕の家が?」
「いや……その、何でもねぇ」
「有栖」
サッと僕から視線をズラす有栖さんに対して真倉さんがその名を呼ぶ。
「おん?」
「無駄よ、諦めた方がいいわ。唯斗は一見常識人に見えるけど、その実は私たちと根本的に何かがズレている狂人だわ。学校でさえもその片鱗を見せてくるもの。重症だわ」
「え?なにそれ、酷くない?」
「確かにそーかもしれねぇなぁ」
「え?そこで頷くのも酷くない?」
まるで僕が常識の効かない怪物のようではないか。
ふつーに心外である。
「本部の連中の頭をマジで困惑させるようなお前がふつーなわけねぇだろうが」
「えぇー」
本部の道中で。
僕は二人にボゴボゴにされながらも、三人で本部の方に向かうのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます