第21話
メインディッシュであった王っぽい妖を泣く泣く拳圧で消滅させた僕は残った三つの頭へとかぶりつきながら真倉さんたちが居る方へと向かう。
「こいつらも美味しいけどぉ……やっぱりあいつが食いたかったよぉ」
「そ、そうですか。あのままアレを放置していれば看過できない事態にまで発展していた可能性もございます。あそこでしっかりと倒してくださりありがとうございました」
僕と共に真倉さんの方へと戻ってきた零さんが僕へと慰めの言葉をかけてくれる。
「うぅ……僕の対応は間違えていないよねぇ?そうだよね。多くの人を守ったってことだものね。うん。振り返らないんだよぉ」
すっごく美味しそうな匂いがしたなぁ……というか、実際に触手とか本当に美味しかったもんな。
回転寿司のサーモンを最高に進化させたみたいな味がした。
あれだけ再生出来れば無限に食い続けることも出来たはずだ……本当にもったいない。
「なぁ!さ、さっきのはなんなん……って、ちげぇ!やっぱりオメェだよ!」
「むにゅ?」
どれだけ口では強がっていても、結局のところ未練たらたらだった僕はいきなり話しかけられ、動揺の声を漏らす。
「その追及は後にしましょうか……とりあえずは唯斗殿ご無事でしたか?」
「え……?あっ、うん」
「それならば良かったです。それで?一時的に唯斗殿はどこかにいなくなってしまったわけですが……何処に行っていらしたのですか?」
「あっ!!!そういえばあそこは!?まだ大量に食材残っていたのに!!!」
僕は零さんの言葉を受け、最初に王っぽい妖と出会った場所のことを思い出す。
あそこには僕が倒した百を超える実にうまそうな妖の数々が残っていたのだ……なんともったいないことか。
「行き方もうわからんやん!?あぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!」
僕は三人のことなんてガン無視し、一人。
大量の食糧を失ったことを嘆くのであった……全部めったに出会うことのないめちゃくちゃ美味しそうな激レア確定演出だったのに!
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