妖が蠢く現代日本最強の祓魔師はお腹が空いた！妖？呪物？怪物？……よくわからんが全部美味しいぃぃぃぃぃいいいいいい！

第14話

　非常に美味であり、満足の良く食材であった。

「……何をしているのですか！？」

　半分になってしまった妖の味を味わいつくし、そのすべてを消化しきった僕が満足げに頷いていたところ、焦ったような表情を浮かべる零さんが僕の体を持ち上げる。

「いきなり封印を解き放ってそれを、あ、あまつさえ食べ」

「げっぷ」

　そんな言葉を遮るように大きな僕のげっぷが響き、僕の息が零さんの顔を包み込む。

「……」

「……」

「……」

「……」

　は、恥ずかしい！我慢できなかったよ！

「ん゛ん！わかっているのですか？貴方のやっていることがどれだけ危険なことか」

　思わず沈黙が降りてしまったこの場の雰囲気を変えるように零さんは口を開き、言葉を響かせる。

「貴方はいきなり僕が生まれた頃からの食事が危険な行為だからと言うのを聞いて納得できるのですか？食べたことないからわからないかもしれませんが、妖の体って美味しいのです！」

　そして、その流れに乗るようにして僕も口を開く。

「……美味しいのですか？」

「美味しいって誰かに報告した気がするけど」

「……えぇ。報告書はちゃんと目を通していますよ。この後、美味しいごはん屋さんにみんなで行きましょう」

「あれ？もしかして妖が美味しいって信じてもらえていない？」

「いやいや！そこじゃねぇだろッ！んだ今のはッ！？封印を解除しやがってどうするつもりだ！？」

　僕と零さんのやり取りに有栖さんが大きな声を上げて割り込んでくる。

「ちゃんと倒したから良いじゃん」

　僕は本当に殴っただけ……僕の戦闘方法は殴る蹴る噛みつくしかない。

「素人が簡単に倒せてたまるかぁ！何しやがった！」

「本当に殴っただけだよ？」

「信じられるかァっ！一瞬で下半身が消滅したのは何だよ！オメェの口はそんなでかくねぇだろ！」

「吸った」

　こう……じゅるるっと、僕はなんとなくのニュアンスを身振り手振りも加えることで説明する。

「……何言ってやがんだ？」

　そんな僕の説明は通じなかったようで有栖さんは一体何を言っているんだと言わんばかりの表情で口を開く。

「だーかーら」

　そんな有栖さんへと詳しく説明するため、僕が自分を掴む零さんの腕から抜け出して地面へと足をついたその瞬間。

「……およ？」

　僕の視界は真っ暗に包まれたのだった。