第13話
零さんに率いられる形で祓魔士の本部より少しだけ離れた場所にやってきた僕たち。
「まずは初めてということで封印の強化を施していきます」
「なるほど」
僕たちは道を歩きながら今回の任務の内容の説明を受ける。
それにしても本当に謎なんだけど、さっきからここら辺の近くに人が人っこ一人いない……というか人がいない気がする?どういう原理なんだろうか?
「ところで聞きたいんだが、この二人の戦闘方法は何かあるのか?」
零さんの説明が終わった段階で歩きながらもタバコを吸っている有栖さんが僕たち二人を指差しながら疑問の声をあげる。
「パンチ」
「ないわ」
それに対する僕と真倉さんの言葉は互いにたった三音。
「なんでこの二人を実践投入しているんだ?実践投入の前に色々あっただろ」
「大人の事情です。のんでください」
「ちっ」
こればっかりは有栖さんの言う通りだと思う。
舌打ちしたくなるのもわかる……けど、された側は結構ビビるよ?真倉さんとかもう悟りの領域だよ?
「ここです」
そんなこんなでやってきたのは商店街の裏路地にポツンと置かれた一つの岩。
注連縄とお札でいかにも封印されている感のある岩だ。
「私たちはこれからこの岩にかけられている封印を今後も継続して行えるよう、ここに妖が近づいていないか、結界が働いているか、封印が緩んでないかのチェックをしていきます」
「なるほど……これ、封印されているってことは倒せないような強者ということですよね?」
「えぇ、そうよ」
「これは倒せないから封印されているのであって、サクッと倒せるのであれば倒した方が良いんですよね?倒せるのであれば封印を解除しても問題ないですよね?」
「そ、そうだけど……何か気になることでも?」
「オメェは何が言いてぇんだ?」
「いや、とくには」
僕は不思議そうな表情を浮かべる零さんと若干いら立っている有栖さんから視線を外し、岩の注連縄とお札を引きちぎる。
「「……は?」」
「……やっぱり」
『邇九?蟶ー驍?↑繧奇シ∝?蛟呎?繧奇シ』
「……ッ!」
ちゃんと封印は解除されてくれたのだろう。
封印が解除されると同時に岩の中から湧き上がってくる謎のドロドロとした汚泥のような影の怪物。
「ほいさ」
敵は多分ヤバい感じ……?別に僕は特に何とも思わないけど、多分ヤバいだろうということで僕はいつもより力を込めてその汚い妖へとパンチ。
「いただきます」
一瞬にして吹き飛ぶ上半身。
そして、僕の口の中に吸い込まれていく良質な妖。
「美味」
もったいなかったなぁ……こんな手応えないならそのままかぶりつけばよかった。
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