第11話

 僕が精密検査を受けた次の日。


「……また、行くの?」


「呼ばれたんだから仕方ないじゃん……行かなかった方が怖いと思うよ?」


「まぁ、それもそうね……」

 

 僕と真倉さんは高校が終わった後に祓魔士の拠点である大きな建物へと再度やってきていた。


「……どこに行けばいいの?」


「……知らん」

 

 歴史もクソもない実に現代的な高層ビルの自動ドアを通って建物の中に入ってきた僕たちはそこで足を止めて途方に暮れる。

 

 知っている者はなし、案内してくれる者もなし。

 忙しそうに歩き回る人を眺めながら制服姿で教科書類が詰まっている学生かばんを背負ってやってきた僕たちはものすごく場違いだった。


「貴方たちが唯斗殿と佐奈殿ですか?」

 

 そんな僕たちの背後から。

 一人の女性の声が響いてくる……ん?なんか瞬間移動してきた?さっきまでは確かにいなかったはずだけど。


「……ッ!?い、いつの間に!?」


「そうですよ。自分たちを案内してくれる人ですか?」

  

 いきなり現れた女性に対して驚愕する真倉さんを横目に僕は目の前のこの人は自分の脅威足り得ないと判断し、警戒も特になく口を開く。


「……えぇ。そうですよ。私の名前は零。濃紫級祓魔士にございます」


「は、はぁ」


 濃紫……?濃紫級?どんな級の分け方?

 え?何、ここは平安自体の冠位十二階で級分けしているの?

 

 僕は目の前にいる女性……零さんの言葉を聞いて若干の困惑を露わにしながらその言葉に頷く。


「真に勝手ながら、私があなたたち二人の担当をさせてもらうことになりました……私についてきてもらってもよろしいですかな?」


「はい」


「わ、わかりました」

 

 僕と真倉さんは零さんの言葉に頷き、彼女の後に続いて進んでいく。

 エレベーターに乗り込み、上がっていくこと七階。

 零さんは七階のフロアにある一つの部屋へと入り、それに続いて僕と真倉さんも部屋の中に入る。


「あ゛ぁ゛?そこの餓鬼二人がうちらで面倒みるとーしろども?……ちっ。んで、うちが他人の面倒なんてつまんねぇことを……」

 

 僕たちが入った部屋にいたのは一人の少女。


「そう声を荒らげないでください。有栖殿」


 見た目的には僕たちとそう歳は変わらなそうなのにも関わらず、タバコを咥えてドスの利いた声を上げる巫女服を着たその少女。


「「……あわわ」」

 

 まるで着ている巫女服と合っていないような不良少女に対し、僕と真倉さんは共に手を取り合って恐怖の感情をあらわにするのだった。

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