第7話

 謎の警報音とアナウンス……おそらく倒したほうがいい妖が出たことを知らせるものだろう。


「ごめんなさいッ!緊急事態よ!ちょっと私たちは行かないと!茉莉!」

 

 警報音とアナウンスを受け、凛さんは慌てたような表情を浮かべながら僕へとそう告げ、蓑宮真理……僕と真倉さんを半ば拉致のような形でここにまで連れてきた張本人である少女の名を呼ぶ。


「貴方たち二人はここで待っていて頂戴……すぐに戻ってくるわ」


「嫌です」

 

 僕は凛さんより告げられた言葉を一瞬で却下する。


「え……?」


「自分も行きますよ……実に美味しそうな匂いが漂って来てますから」


 かなり美味しいそうな匂いが漂って来ている……かなり離れたところなのにもかかわらずここにまで美味しそうな匂いがしているのだ。

 相当なごちそうがそこにいるのだろう。

 それを逃す手はない。


「いや!そ、それはちょっと……ッ!」


「真倉さんも行こうよ!」

 

 僕の言葉を受けて、慌てて断ろうとする凛さんを無視して話の矛先を真倉さんの方にまで広げる。


「えっ!?わ、私も!?」


「うん、そうそう」

 

 僕は驚愕する真倉さんの言葉に頷く。


「真倉さんも行った方がいいんじゃないかなぁーって思って……妖が倒されるところとか、暴れているところとか。実際に見た方がいいんじゃない?真倉さんは妖が見えるようになっちゃったんだし、どうせ彼らとの縁を切ることは出来ないでしょ?いつ襲われてもおかしくない現状にあるわけじゃんか。何も知らぬ状態で襲われるのと少しは戦闘を見て知った状態で襲われるのとでは全然違うと思うよ?」


「い、いやぁ……でも危険なんじゃ」


「大丈夫。それは安心して、僕が守るから」


「……ッ。じゃ、じゃあ……行こう、かなぁ?」

 

 僕の言葉を受け、真倉さんも来る方向に意見を傾け始める。


「ま、待って頂戴!?それを許可するわけにはいかないわ!」


 そして、それを受けて焦った声を上げる凛さん。


「まぁ、別に断ってくれても構いませんよ?承諾しようとも承諾しなかろうと……僕は勝手に行くだけですし。別に僕は凛さんの部下と言うわけではない。凛さんの命令に従う義理はないですしね?」

 

 それに対する僕も決して引くつもりはない。

 壁に手をつけ………少しだけ力を籠めることで壁へと大きくヒビを入れる。


「ここをぶち壊してでも行きますよ?」


「……ッ」

 

 僕を止めたいのであればかなりの覚悟と戦力を必要とするだろう……多分だけど、僕は結構強い。

 さぁ、凛さんはどうするかな?

 僕は続く凛さんの言葉を待った。

 

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