第6話
妖という人類の敵を毎日のように食べていた僕に、妖が突然見えるようになった真倉さん。
僕たち二人の扱いとしてはとりあえず保留。
というか、あの女性の権限で対応出来る範囲を超えてしまっているんだそうだ。
今日のところはとりあえずとして簡単な妖への対処法を教えてくれるらしい……基本的に妖は襲ってこないが、それでも襲ってくる例もあるため、最低限の知識があった方が良いとのこと。
「現実世界にこんな魔法みたいなこと出来るんだね……ふふっ、実におもしろい」
ということで大きな建物である陰陽寮の地下。
そこに幾つものある訓練場の一つへとやってきた僕たちはそこで女性こと牧ケ谷凛さんに簡単な術を教えてもらっていた。
「でも、実際に戦う際はこんなので一時的に動きを止めるのであれば一気に食べちゃったほうが……」
凛さんに教えてもらった術……ごく初歩的な封印術をあっさりとマスターした僕は四苦八苦している真倉さんの方をぼーっと眺めながら使ってみた感想を漏らす。
「……ねぇ、気になっていたんだけど、貴方はどれくらいの妖へと戦えるの?」
「どれくらいの、と言われてもそもそもの基準を自分は知らないですからね。僕の中にある基準はどれだけ美味であるか、です」
「……美味しいの?」
「美味しいですよ……そこらの高級ディナーより美味しいです。まぁ、自分は高級ディナーなんて食べたことないけど」
両親はネグレクト気味。
まともに金も食糧もねぇような環境で暮らす僕に高級ディナーを食べる機会なんてあるわけがない。
ただの想像だ。
「あら?そうなの?」
「ですです。いつか高級ディナーを奢ってくだせぇ……ふひひ、やっぱり稼いでおられるんでしょう?」
「……ふっ、私は所詮中間管理職。激務のブラック企業のくせして私に入るお金は薄月給。未だに実家からの仕送り頼り……うぅぅぅぅぅ」
「……」
おっと、どうやら地雷を踏んでしまったようだ。
『ビィィィィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!』
僕が凛さんと他愛もない雑談に花を咲かせていた頃だった。
「え?何?」
喧しい警報音が鳴り響いてきたのは。
『足立区で妖の活性化を確認。等級は中多数の上が一部。出来るだけ多くの祓魔士の出動を要請します』
「……ッ!」
ふむ……なんか美味しそうな匂いが漂ってきた。近いね。
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