第5話
この世界に住まう全生命の敵である妖の存在。
そして、ここ日本においてその妖と戦う祓魔士とそれを管轄する陰陽寮の存在。
「……なんで陰陽寮なのに祓魔士?そこは陰陽師じゃないの?」
それらに関する説明を聞いた僕が最初に疑問の声として口を開いたのは名称についてだった。
「そこは欧米化の流れよ……名称も明治時代頃に陰陽師から祓魔士に変わったの。私たちが使う術も陰陽術を土台に世界各国の様々な術を学び、改良を加えた既に陰陽術とはまるで使う『術理』になっているからね。それを受けて当時の政府が陰陽師の名を
「……なるほど。さて、まぁ心底くだらない質問と応答を交わして場を温めたところで……そうですか。自分が、食料として食べていたの……妖とかいう人類の敵だったんですね」
「え、えぇ……そうよ。だから、食べているっていう話を聞いて心底驚いたのよ」
「……確かに、それならば驚きますね」
「少し、私からも良いですか?」
「えぇ、良いですよ」
自分が食料として小さい頃から食べていた食料がやべぇ存在であったということを聞き、驚愕していた頃。
女性へと真倉さんも質問を投げかける。
「普通は、妖なんて見えないんですよね?わ、私……ここ、数週間前からいきなり妖が見えるようになっちゃたんですけど……大丈夫なんでしょうか?」
「……」
真倉さんの質問に対して女性は難しそうな表情を浮かべる。
「だ、大丈夫なんですよね……?」
「妖を食べる少年……という圧倒的なインパクトに押されていたけど、妖が急に見えるようになった少女、というのもやっぱり異質なのよね」
「そう、なんですが……また、見えないようになったりは?」
「申し訳ないけど、また見えないようになったりはしないと思うわ。基本的に妖が見える見えないは才能によるもので、本来は後天的に変わることはないの……この才能に関しては血統、親からの遺伝子による影響を色濃く受けるためほとんど陰陽師家から才能を持った子が出るのだけど……」
「後天的に、陰陽師家でもない子が妖が見えるようになった例はない、とぉ……?」
「基本的にはそうね。というか、私はその例を知らないわ……だからこそ、どう対処すればいいかわからないし、貴方にどんな悪影響があるかもわからないわ」
「そう、ですか……」
「まぁ、とはいえ食べているよりは全然いいと思うんだけど」
「およ?」
真倉さんとの応答中だったはずが……いつの間にか刺されていた僕は困惑の声を上げるのだった。
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