第6話 憧れ
これが両手に花ってやつなのだろう。一昔の俺にもう少ししたらモテると言ったら信じてくれないだろう。
しかーし!俺の両手には美少女がくっついている。まあ・・・
「あなたなんですか?ダーリンにくっつかないでください」
「彼女でもない人が私の彼氏にくっついて何考えてんの?頭おかしいのかな?」
空気がクソ悪いんですけどね・・・すっかりこのやべぇ女のこと忘れていたわ。こんな時イケメンは固有スキルの【説得SS】で女の子をなだめることができるが俺にそんなスキルは持っていない。持っているのは好感度が見えるくらいだ・・・
「ねえダーリン?この人はそこら辺に捨てて私と学校に行こうよ〜?」
「話を聞いてないのかしら?私の彼氏になんでくっついているの?」
「・・・」
周りの生徒は面白そうにこちらを見ている。そこでニヤついているそこのお前!俺のかわりにこの二人の間に入らないか?
俺はニヤついているやつにそう圧力を送るとそいつは怯え始め早足で学校に向かった。
「ダーリン今日は一緒に帰らない?」
「今日は奏と帰る予定だから・・・」
「そうよ!私は友樹君と帰るんだから部外者はさっさとあっち行って!!」
「ちっ・・・この女」
「なにおう!?やる!?」
「上等だわ!」
そう言って二人はズンズンと学校の方へ向かっていった俺を置いて。助かったは助かったがなんか残念な気分になった。
「お、おはよう!佐々木君!」
「おう、おはよー」
「今日の課題やりました?」
「やべ、やってねえわ見せてもらって良い?」
「もちろんですよ!なんたって私は・・・」
「ところでさ聞きたいことがあるんだけど良いかな?」
「良いですよ!友樹君になら私のスリーサイズを・・・」
「あんた誰?」
「教えて―――はぇ?」
「自然に挨拶されたから知ってるやつかと思って挨拶したが俺たちってそんな仲だったっけ?」
記憶にもないんだが?記憶力は良いと思っている俺の脳でも目の前の彼女については全く反応していない。
「私はですね・・・瑠香って言います」
「瑠香・・・?聞いたことがあるような・・?」
「そうでしょう!なんたって私達は遠い昔の幼馴染で婚約者だったのですから!」
「・・・いたっけ婚約者」
記憶にございません!それじゃあ俺が全くモテなかったのは・・・
「お前だったのか!?」
「ええ!そうですよ!」
瑠香はとっても嬉しそうに俺に笑顔を向けてくる。俺がモテないのはこいつのせいだったのか!?(そういうことではありません)
なんて恐ろしいんだ!この女!
たまには好感度ゲージを見てみると黒く染まっている。好感度マックスってことか?でも俺を陥れたいと思っているこの女はなぜこんなに高いのだろうか?
「・・・むふふ〜今日から友樹きゅんにくっつけるんだね・・・!そのあとは友樹くんと【自主規制】したり【自主規制】をしたりとできるんだね!」
心の声が聞こえて俺の背中は急に氷を入れられたみたいにビクッとなった。本能なのかそれともただ寒いだけなのか。
「じゃあ教室行こう!もちろん手を繋いでね!」
そういって瑠香は満面の笑みで俺の方に手を差し出した。でも俺にはその笑顔も怖いと感じてしまった。だが・・・
「あ、ああうん」
我慢して手を握る。あ、俺女の子と手をつなぐの初めてかもしれないから少しうれしい。女の子の手はなんで柔らかくほっそりとしていてすべすべしているのだろうか?
「・・・照れてる友樹きゅんもかわいいな〜カメラ起動しといてよかった。これでまたコレクションが増えるな〜ふふ・・・!」
「なんか言ったか?」
「いや〜?ただ友樹君と手を繋げて嬉しくって」
瑠香はこの愛想の良さでモテているのだろう、俺も奏が偽彼女じゃなかったらすぐに落ちていただろうと思っていたがそんなことなかった、だって裏の顔が怖い・・・!
なんで俺が関わる女の子は変なやつしかいないんだ!
あ と が き
書き忘れましたが一応短編です。
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