第9話眠る遥

俺がリビングに行くとソファで寝ている遥を見つけた。

「昼寝してる……珍しいな」

遥はいつも皆の為に働いていて、正直俺も休んでいるところを見たことがなかった。

俺はいつも六時に朝起きているが、俺がリビングに行くといつも既に朝ごはんを用意し終わっているし、俺らはいつも二十二時に寝ているが俺は一度もその時間に寝るのを見たことがない。

ずっとキッチンの所で仕事をしていたりして、俺が手伝おうとしても「私がやります!」と言って絶対に仕事を渡そうとしない。

「全く……少しぐらい兄弟を頼れっての」

俺は少し険しくなった遥の頭を撫でた。

「んっ……あれ?……」

「ありゃ起こしちゃったか」

遥は起きると、顔色を少しづつ悪くしていき震えた声で俺に話しかけた。

「もしかして私……眠っていました!?」

「ああ」

「すみません!」

遥は起きて顔色を悪くしたかと思ったら、いきなり謝ってきた。

俺は突然の事すぎてびっくりしたが、「気にするなよ!正直仕事はまだ無いし少しぐらい良いって!」と何とか言葉を発した。

「本当にすみません!」

「まぁまぁ気にしすぎんなよ!」

と俺は言い残し、ココアを両手に持って部屋に向かった。

「あんな事であそこまで取り乱すのか……うーんやっぱり家事のし過ぎで精神状態が安定してないのかもな……杞憂であればいいんだけどね」

そんな事を考えながら階段を登っていたせいで、ココアを地味に零し足にかかってしまった。

「あっっっつ!やっべぇ火傷してないと良いけど……後でちゃんと見とかないと」

その後は零さないよう、慎重に部屋まで向かった。

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