第7話恵と修哉
(はぁ……どうすればいいんだか)
俺は編集を進めながら、昨日のことを思い出していた。
***
「あの子を……麗華をお願い」
「……は?」
正直俺は困惑をしていた。
俺の事を煙たがっているのは恵さんや遥も見れば一発で分かるほどだったのに俺に麗華を頼むとか言ってきたから変な汗が出てきてしまった。
「もしかしてビックリして困ってる?」
「まぁ〜……はい」
「そ〜よね〜……自分のことを煙たがってる人を頼まれてもね」
恵さんは決意を固めて俺にといてきた。
「貴方は……修哉君は麗華のことは嫌いかしら?」
くるりと身を翻してそう問う恵さん。
俺は目を逸らしながら言う。
「……嫌いと言うか苦手ですね。あそこまで拒絶されていると流石に自分でも傷つくものです」
「でも、そこが可愛くない?」
俺は恵さんを見つめながら言う。
「可愛い?」
「うん、ツンツンしてる所とかさ。最近の男の子ってそういうのを可愛いと思うんじゃないの?」
「そこにデレが入るから、可愛いと思うんじゃないですか?」
「うーん……男の子って難しいのね」
恵さんの言葉に軽く反論した。
「俺的には、女の子の方が難しいと思いますけどね」
俺は月を見ながらそう言った。
「でも……麗華はとても優しい子なんだよ」
恵さんも、月を見ながら言う。
「確かに……麗華は家族にはとても優しいです。……その代わり他人にはとても強く当たる……それがアイツなんです。だから俺はアイツが苦手なんだ」
「修哉君は、気付いていないのね」
恵さんは笑いながら言った。
「何にですか」
「うん……貴方も家族なんだよ?」
「そう……ですけど……俺には仲良くできませんよ」
恵さんは、ため息をつきながら言った。
「そこで、諦めちゃうから無理なんだよ?」
恵さんは、俺の目をじっと見つめて言う。
「麗華は、本当に良い子。麗華も仲良くしなきゃいけないって考えてるはず」
「なんで……そう分かるんですか」
「だって親子なんだもの」
恵さんは、俺の頭を優しく撫でて言った。
「私は、家族で仲が悪いのはダメだと思うの。仲良くして、ここが自分達の居場所なんだって、そう感じられるのが家族だと私は思う。だから修哉君と麗華には喧嘩して欲しくないの」
「そう言われても……どうしようも」
と言っていると、恵さんは俺の背中をバンっと叩いた。
「いっ!」
「男の子が何弱音吐いてるの!」
力強く恵さんは俺の背中を叩いてきた。
「女の子に告白する時や女の子と仲直りする時は、男の子から行くでしょうが!」
恵さんは、家を指さして言った。
「さっ!帰る!」
「買い物は?」
「そんなの修哉君を呼び出すための口実!さっ!早く行く!」
俺はそう恵さんに急かされ家に帰らされた。
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