第5話遥に可愛いと言ったら

「へ〜本当に料理出来たんですね」

「まーね。基本俺が料理してたから」

「そうなんですね」

「そそ。野菜切り終わったぞ。次は何すればいい?」

「じゃあ、お肉も切ってもらっていいですか?」

「あいよ、てか少し思ったんだが、遥には彼氏とか居ないのか?」

「え!?いきなりなんですか!?」

「いやだって、遥は可愛いくて面白いし、優しい。そんな超優秀で容姿端麗な子をほっとくわけが無いじゃないか」

「全く、何を言っているんですか!ちゃんと手を動かしてください!」

「すまん」

そんな他愛のない会話をしている時、俺はさっきまでしていた会話を思い出した。

***

「ということで父さんと母さんは、引っ越して二人で暮らそうと思うから、四兄妹仲良くしてくれ」

「ほう……要約すると、母さんと二人で愛を育みたいから引っ越させてくれ……と言うことか」

「違うよ、ただ父さんの勤務先がここからものすごく遠い場所で離れないと行けないってだけだ」

「なら、母さんは行かなくていいのでは?」

「母さんが着いてきたいらしい」

「俺らを置いてか」

「大丈夫だよ、そんなに心配しなくても貴方達なら上手くやっていけるわよ」

「生活費とかはどうする」

「心配ご無用!父さん達が口座にお金を入れておく!」

「……そうか、なら俺には言うことは無いね。ただ一つだけ心配点を上げるとしたら父さんが俺が居なくてもやっていけるかだけだからな」

「父さんをバカにしすぎだ……まぁ父さん達は明日にでも行くから覚えといてくれ」

***

「やさん……修哉さん!?」

「おわっ!どっどうした!?」

「あの……指」

「え?」

俺は集中をし過ぎていたようで指からは有り得ないほどの血が出ていた。

「今日は色んなことがあったから、ボーッとしてたのかもな」

「そうですね、今日だけで色んなことがありました」

「ホントだよ、ありすぎなくらいだ。っと、肉切り終えたよ」

「ありがとうございます!もう他にはやることは無いので、指の処置をして待っててください」

「分かったよ」

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