第4句 誕生日 0時ちょうどの メールはあなた

明日は私の誕生日。

17歳になる。


何のイベントも無い。


一応。

パパはケーキを買ってくれると言った。


ママも。

御馳走を作ってくれる。


そう。

幸せな誕生日。


なのに。

少しだけ、寂しい。


スマホを見ていても。

ラインには、それらしきコメントは無い。


だって。

まだ、前日だし。


お義理でくれるメールがあっても。

今日では無いと思うから。


「寝よっと・・・」

私はベッドに潜り込んだ。


お気に入りの抱き枕をかかえて。

スパイファミリーの「アーニャちゃん」が可愛い。


「バカ・・・」

と、小さく呟いた。


目を閉じても。

眠りの扉は開かない。


諦めて。

読みかけのラノベでも読もうかと、した時。


スマホがピコンと鳴った。


暗闇の中。

液晶画面の青白い光が私を照らす。


「誕生日、おめでとう。


午前零時、ピッタリ。

俺が一番乗りだよね?


夜中で迷惑だった?

ゴメンね」


「えっ・・・?」


両手で持つスマホの重みが。

その時は忘れるほどに。


私は文字を追っていた。


その顔が。

この何年の間で。


一番。

嬉しい表情になっていたのは。


自分でも気づかない。

私、でした。

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