第4話 木曜日 先輩の推理と死のリスク
部活が終わり、校門へ向かう藤木先輩を追う。
「藤木先輩。
お疲れ様です」
「お疲れ。
何かあった?」
「今週、花火行きますか」
「今のところ予定ないよ」
「俺とカンナで行こうと思っているんですけど、藤木先輩も来てくれませんか」
「他に誰が来るの」
「今のところ俺たちだけで」
「ふーん。
二人で行ってきたら。
カンナさんに僕に声かけるように言われた」
「そうですね」
まあ、完全に見通されているよな。
「じゃあ、僕も行くってことにしといて、当日急用で行けなくなるって事でいいかな」
「・・・ どうですかね」
「大丈夫だよ。
何かあったら僕のせいにしていいから。
それで行こう」
「・・・」
「何も心配いらないから。
自分に自信を持って。
カンナさんにはレン君が一番だと思うから」
「いや、それはどうですかね」
「カンナさんのことだし、最初からそのつもりなんじゃないかな」
「えっ。
そんなことはないと」
「冷静に考えてみなよ。
僕も空気読めない先輩だなんて思われたくないからね。
花火デート楽しんで。
じゃあ」
藤木先輩は手を上げて校門を出ていく。
「・・・」
この誘い方じゃ八割方先輩は乗らないだろうなとは思っていたが、完全に想定外の返しだった。
先輩の推理は正しいのか。
正しいなら先輩プランで何も問題ないが、違ったら死だろ。
リスクがあまりにも高すぎる。
藤木先輩はカンナの怖さを知らない。
嫌な思い出がいくつか浮かんで気分が悪くなった。
あいつは勘が良い。
小さい頃にやったサプライズはことごとく失敗していた。
失敗するだけなら良いのだが、逆サプライズを仕掛けてきたりする。
それにあいつ常識を逸脱してくるから本当に怖い。
自分を護るために正直に話した方が良いだろ。
何かあるかも知れないがこれで死のリスクは回避できるだろう。
あいつもこうなることは予測しているだろうし。
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