【テンプレその四】勉強回避大作戦


「はーい、ということで、作戦会議をはじめまーす」

「いえーい。どんどんぱふぱふー。」


 ところ変わって自室。私達双子は、今後の方針を決める作戦会議を行っていた。何て言ったって、家庭教師様が来てしまうからだ。対処法を考えなければならない。


「こういうときのテンプレと言えば!」

「実力を発揮しすぎてチートがバレるとか」

「それか調整してド平均を狙うかだよね」


 まあ、勿論こういうパターンは回避したいよね。


「とりま、全力で家庭教師から逃げるとか?」

「割と良いんじゃないかな?こういう場面のとき、大抵のラノベでは授業とかちゃんと受けてるし。それと差別化はできる」

「よし、採用」


 結論、逃げる。いや、私達いっつも面倒事を放棄しすぎじゃん。


「でもさ、逃げてもいつかは捕まるよね」

「それはそう」

「捕まった後の授業態度も考えないとね」

「確かに」

「あとさ、逃げ方が上手すぎるのも逆に優秀さを見せつけてるみたいにならない?」

「うっ」


 考えることは山積みであった。思考放棄したくなってきたよ。


「まずは!偏差値?的なレベルを考えよう」

「底辺を狙っていこうぜ」

「実力隠す系統の話だと、あくまで狙うのは平均値だもんね。底辺レベルの低さはいいかも」

「ただ、あまりにも底辺すぎると授業長引きそうだよな」

「うーん、確かに」


 初っぱなからつまづいてしまった。そうだよね、悪すぎたら補習的なのもあるだろうし。


「じゃあ、授業開始時は赤点の中でも低いレベル、つまりを狙う」

「うんうん、それで?」

「そして、授業を通して学力を上げた設定にして、じょうにするのはどうかな?」

「良いと思うぞ。よくあるパターンのちゅうじょう、いわゆる平均を目指すやつを回避できるしな」


 よし、一つ目は解決。この調子で次も解決していこう。


「授業を受けるときの態度はどうするか?」

「うーん、ひたすら駄々をこねる?」

「それだと一生授業が終わらねえよ」

「じゃあ、あれは?一応ド真面目に授業を受けてるのにアホすぎて理解度が不真面目なやつレベルとか」

「不憫枠を狙う感じか。アリよりのアリ」


 はい、決定。授業から逃げるのに捕まったら真面目に受けるという謎設定だけど。まあ、人間なんてみんな矛盾を抱えているものだし。別にいいよね。


「だいたいの方針は決まったか」

「そうだね」

「「じゃあ、寝るか」」


 そしてするのはお昼寝である。すっかり眠るの習慣化したわ。今まで暇すぎて寝てただけだもんね。


コンコンコン。


 ノックの音がする。駄菓子菓子、私達はもう眠るのだ。扉は開けんぞ。睡眠を邪魔するやつなんて、赦さない。


コンコンコンコンコンコン。


 それでもお前はノックをするのか。しかし、こちらには伝家の宝刀、居留守がある。ふん。ここは無人部屋なのだよ。


コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン!


 うっせえなおい。流石にしつこいぞ。眠気吹っ飛んだわボケ。でも、居留守をするって決めたんだ。この考えは変える気などない。絶対に扉は開けんぞ。


「もしかして、部屋にはいない……?」


 扉の向こうから少女の声がする。そう、ここには誰もいないのだよ。さあ、立ち去るが良い!


 そして、コツコツと遠ざかる足音がした。うん、立ち去ってくれた。と思いきや。


ドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!


 すっごい勢いで走ってくる音がした。何事。


「立ち去るとでも思いましたか!?」


 バーンとドアを開けてお出ましになったのは我らが義理の妹殿だった。

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