第33話 元貴族の冒険者、恋人と再び・・・
「リコ・・・」
深夜の宿屋、
クリスは寝ていた自分の目の前に立つ仲間の名前をつぶやいた。
同じパーティーで同室の少年リコ・・・ではない。
それは、蘇生前のもう一人の人格、
クリスにとって大切な、スカートを履いていた頃のリコだった・・・。
思わずクリスはリコの手を握って、
「生きて・・・いたんだね」
と、早くも涙腺が決壊しそうな顔で言った。
「あれから半年以上たって・・・、
もう君はいないんだと・・・諦めかけていたのに・・・」
そんな風に
「うん・・・、ごめんね」
と、微笑みを浮かべたまま言った。
そして、
「とりあえず、ベッドに入れてくれるかな?
クリス君さえ良ければ・・・だけど・・・」
そう恥ずかしそうに、そして誘うように聞いてきた。
「全然良いです」
即答するクリス。
――それから若干の時間をかけて、部屋の中がリコの甘い匂いで満たされた後、
二人はポツリポツリと、ベッドの中で話し始めた。
「それじゃ、もう一人の君が元々のリコなの?」
「うん・・・。
彼が子供のころ、いろいろ・・・大変な事があってね・・・、それで身代わりにわたしという人格が出来たみたい・・・。
もちろん彼自身は、身代わりとか知らないけれど・・・」
「・・・」
「彼の記憶と知識はわたしも共有できるけれど、
わたしのほうは・・・知識だけ彼と共有させて、記憶は彼には伝わらないようにしていたから・・・」
「・・・」
「そのまま、段々とわたしでいる時の時間が増えて・・・、
いつの間にかわたしが主人格のようになってしまったんだ。
実際、この街に来てから彼が出てくる事はなかった・・・」
「それが、あの時・・・」
「うん、あの時わたしは死んで・・・、
それで彼がまた表に出ることになったんだ」
「死んで・・・」
話を聞きながら、クリスは嫌な予感がしてきた。
思わず上半身を起こして、リコを見る。
「でも、やっぱり君は生きていたんだね?
神官さんの『
「いや・・・」
リコは無理に作ったような笑みで言った。
「やっぱり、あの時わたしのほうは死んだんだよ。
今のわたしは、残り香みたいなものなんだ。
あの時君が・・・、
『研磨』のスキルでわたしの『死』を少しだけ削ってくれたおかげかな」
「そんな・・・」
嘘だ・・・、嘘だ・・・!
クリスは信じたくなかった。
「だから・・・」
リコはクリスの腹部に顔を埋め、その腰に手をまわして言った。
「これで、お別れなんだ」
【つづく】
_______________
閲覧ありがとうございます!
そして・・・、
『今度こそ元リコとの本当のお別れ!
クリスに伝える最後のセリフは!?』
どうか、この先にあるコメント欄にて、
あなたの中に浮かんだアイデアをただ一言お贈りください!
『ありがとう』とか、『愛してる』とか、『アイルビーバック』とか・・・。
なるべく、この最新話を読まれただけで参加可能な文章内容とお題にしましたので、
どうぞよろしくお願いします!
――という願いにお応え頂きまして、
本当にありがとうございました!
新しいお題は最新話にて・・・!
どうぞよろしくお願いします!!
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