第29話 元貴族の冒険者、仲間の亡骸の前で呆然とする

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 ダンジョンの瘴気が溜まる事で発生する、

『オリジナル』と呼ばれる魔物。


 今回発生した、魔柱フランティック・トーテムもその『オリジナル』だった。


 ダンジョンの瘴気を力の源としているため、

 並の魔物たちと違ってとにかく強く、しぶとい。


 その魔柱を倒すため、

 今回組まれたCランク以上の冒険者パーティー達で組まれた討伐隊。


 二十数名いた彼らだが、三体の魔柱を倒すため、半分近くが命を落とした。



 ――そして今、

 寺院の安置所の床に、彼らの遺体が横たえられていた。


 寺院の神官が、亡骸を一人ひとり


「死亡確認」

 と、無表情に見ていく。


 その中には、

 クリス達パーティーのメンバーであるリコの姿もあった。


「リコ、どうして・・・」

 まるで眠っているように安らかな顔に向かって、

 クリスはつぶやいた。


 泣きはらした両目は生気を失い、まぶたには色濃くクマが出来ている。


 そばにいる仲間のシンも、仮面の下は似たようなものだろう。


 そして、白狼のユキも・・・。



 ――あの時、クリスが負った致命傷を自分と『交換』したリコ。


 息を吹き返したクリスは、

 そばに倒れた血まみれのリコを見て、瞬時に状況を理解した。


 ユキの時のようにクリスは、

 自分の『命』を分け与えようとしたが、スキルは発動しなかった。


『研磨』で一度削ったものを、再度削ることは不可能らしい。


「くそっ!だったら・・・」

 クリスは諦めなかった。


 リコが死ぬのを止めることができないのならば・・・。


「リコの『死』、そのものを・・・!!」


 既に物言わぬリコの身体に全ての力を注ぎこむと、

 クリスは再び意識を手放した・・・。



 ――そして今、

 安置所でクリスは、横たわったリコと対面していた。


 ・・・『死亡確認』をはっきりと言い渡されたリコと。


 パーティーの誰も、もう何も言葉が出なかった。


 周りの冒険者たちも、クリス達と似たような状況だった。


 それぞれのパーティーメンバーの亡骸の前で、

 号泣するか茫然自失としている。


 クリス達に突っかかってきた冒険者ボックも、

 仲間の遺体のそばで魂の抜けたような顔をしている。


 今回臨時で討伐隊のリーダーをつとめたA級冒険者ヴァンは、

 その光景をしばらく黙って見ていた。


 だが、しばらくして討伐隊の生き残りの冒険者たちに向かって言った。




「『蘇生リザレクション』を死んだ仲間に希望する者はいるか?」



 その言葉に、冒険者たちがいっせいに注目する。


「この寺院の神官が使える伝説級の聖魔法だ。

 当然、死者の『蘇生』の成功率は低い。

 しかも、成功失敗に関係なく高額な依頼料が発生する。

 それでも希望する者は早めに言ってこい。

 成功率は、死んでから時間が経つほど下がっていくからな」


「お願いします!!!!!」

 クリスはそこが寺院である事も忘れて、大声を上げていた。


 シンもクリスを止めなかった。



 リコの亡骸に『蘇生リザレクション』をかける・・・。


 依頼料は金貨50枚、

 成功報酬はさらに200枚だった。


 だが、問題は金額だけではなかった。


「もう一つ、条件があります」

 そう言って、神官は金とは別に、それ以上の条件を提示してきた。


【つづく】



 _______________



 閲覧ありがとうございます!


 そして・・・、


『神官にリコ蘇生の依頼!

 交換条件として提示されたのは!?』


 どうか、この先にあるコメント欄にて、

 あなたの中に浮かんだアイデアをお贈りください!


 簡単な一言で構いません!


『血』とか、『寿命』とか、『片玉』とか・・・。


 なるべく、この最新話を読まれただけで参加可能な文章内容とお題にしましたので、

 どうぞよろしくお願いします!




 ――というお願いにお声を頂きまして、

 本当にありがとうございました!


 新しいお題は最新話にて・・・!






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