第10話 元貴族の冒険者、捕まる




「あ・・・あへ・・・」

 マルコは力なくその場に倒れ伏した・・・。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 クリスはそのまま、

 全速力で児童保護施設に戻った。


 子供たちがさらわれたという話が嘘ならば、

 ユキを連れたエミリは、

 すぐに施設に戻ってきてマルコ達を待っているだろうと踏んだのだ。


(きっと、

 ユキも一緒にいるはずだ!)


 林から街へと引き返し、

 人通りも絶えた夜の道を走るクリス。


 だが、

 施設に近づくにつれて、

 ざわ・・・ざわ・・・と騒がしくなってくる。


(?

 何だ・・・?)

 

 施設のほうでも何かあったのだろうか?


 まさか・・・。


 クリスが到着した時、

 施設の門前には人だかりができていた。


「おい、どういう事だよあれは?」


「まさか街の中に魔物が出るなんて・・・」


「いや、あれは少し前からこの施設で見かけたぞ」


「ああ、広場でガキどもとじゃれていたな」


「従魔か!?」


「じゃあ、

 施設の従魔が飼い主にかみついているわけか?」


「だな。

 ありゃ間違いなく殺処分だな・・・」


 そんな野次馬の話が耳に入ってきたクリスは、

 慌てて敷地の中へ向かった。


「すいません!

 すいません、ちょっと!」

『研磨』のスキルで人だかりの『好奇心』をながら、

 わずかに力の抜けた彼らをかき分け中に入る。


「ユキ!」

 見ればうつ伏せに倒れたエミリを前足で踏みつけているユキ。


「WHOLLLLL・・・」

 その表情かおは、

 クリスといる時の穏やかなものではなく、

 魔狼だった時のであった・・・。


(まさか・・・、

 僕たちが騙されていた事に気づいて・・・?)


 それだけではない。


 クリス自身は気づいていないが、

 彼からその『命』の一部を分け与えられたユキには、

 その精神状態が伝わるのだ。


 クリスがマルコへと向けた負の感情・・・、

 距離をも飛び越えてそれを感じたユキは、

 目の前にいたマルコの一味エミリを憎むべき敵と判断したのだ。


 そのユキに踏まれたエミリは、

 恐怖で全く動けないでいる。


「あ・・・、ああ・・・、

 た、助け・・・」

 顔は涙とよだれと鼻汁まみれだ。


 見事に化粧も崩れている・・・。


 失禁もしているかもしれない・・・。


 そんなエミリを救出するためか、

 街の衛兵らしき制服を着た兵たちが、

 槍を持ってユキを取り囲んでいる。


「このままではらちが明かん。

 一斉に仕掛けるぞ・・・!」

 リーダーらしき男が、

 合図をしようとしたその時!


「待って!

 待ってください!!」

 クリスは叫びながら、

 ユキをかばうように走り寄る!


 その瞬間、

 獰猛どうもうだったユキの表情が、

 再び穏やかなものに戻った・・・。


 周囲にまき散らしていた殺気が、

 一瞬にしてき消える・・・。


 ユキはエミリから足をどけると、

 嬉しそうにクリスの頬をなめる。


「良かった、

 ユキ・・・!」

 

 君は、人を壊さなくて・・・。


 その事実に安堵あんどしたクリスは、

 ユキの首筋にしがみついた。


「な、何だ君は?」


「その魔獣の従魔士テイマーか?」


 いきなり現れたクリスとそれによるユキの変化に、

 衛兵たちは警戒しながらも、

 話を聞く姿勢を見せてくれた。


「はい。

 実は・・・」

 クリスは事情を説明し始めた・・・。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ―――その後、


 話を聞いた衛兵たちは、

 クリス達をそのまま解放・・・

 するわけがなく、

 話の裏付けが取れるまで、とを屯所に押し込んだ。


 クリスもユキも抵抗しなかった。


 それが衛兵かれらの仕事だから・・・。


 

 衛兵たちはクリスの話に沿って、

 その夜のうちに林まで、マルコと門番の身柄を抑えにいった。


 だが、二人は五体満足にもかかわらず廃人同然で、

 まともに話が聞ける状態ではなかったという・・・。


「一体何をしたんだ、あいつは・・・」

 衛兵たちはクリスという少年の中にある、

 深い闇を見た気がした・・・。



 唯一話せる状態だったエミリは、

 正直に告白するどころか、

 自分たちの無実を訴えた。


「皆あの冒険者のデタラメです!

 あの素性も怪しい少年は、

 私たちの依頼を受けたふりをして、

 施設の金庫からお金を盗み出そうと・・・!」


 そしてそれを見つけた私たちを亡き者にしようと・・・、

 という作り話でエミリは逆に、

 クリス達を加害者に仕立て上げようとした。


 実際、衛兵たちも、

 その主張を信じてしまった。


 街での信頼も厚い児童保護施設の職員たちと、

 かたや街に来たばかりの地位も実績もない冒険者の少年・・・。


 どちらの話のほうが信ぴょう性があるか、

 いうまでもない・・・。


 それまで屯所の休憩室で過ごさせてもらっていたクリス達は、

 地下の牢に勾留された・・・。


【つづく】



 __________________


 ここまでお読みいただき、

 本当にありがとうございます!

 

 新しいお題を出せるところまで描きたかったのですが、

 思った以上に文字数をくってしまったため、

 引き続き前回と同じ内容のアイデアを募集いたします。


 すなわち、

「クリスが敵であるマルコからものとは!?」


 あなたの考えを下にありますコメント欄にて、

 お贈りくださいませ。


 ただ一言だけで良いのです!

『腹筋』とか『大胸筋』とか『肛門括約筋』とか・・・!


 それが、次の回の展開を創り上げます!


 どうか『神々』よ、

 未熟なわたくしめにその『声』をお聞かせください・・・!


 ―――というお願いを先日しておりました。


 コメント本当にありがとうございました!


 この物語は最新話で常にお題へのコメントを切望しております。


 どうぞ・・・どうぞご協力よろしくお願いします!!











  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る