『栄光の弦楽猿合奏団』 最終回その4


 『議長閣下が島に現れました。』


 ゴフリラー艦長に知らせが入りました。


 『なんだと? 誰が連れてきた?』


 艦長は、副長を見ました。


 『君か?』


 『来たいから、アマティに知らせてほしいと。あなたに申し上げるほどのことはない。とも。わたしには、いかんともなりませんな。……』


 『むむむ。けしからん。現場の指揮官はおいらだ。議長と言えど、順番は守らなくてはならん。』


 『ならば、これから、議長に、そう伝えましょうか?』


 『ばかな。くびにされる。くそ。』


 『艦長。議長は人類から新しい技術を得たいのでしょう。』


 『技術? そんなものが、猿族に必要か? 猿は、猿のやり方で生きればよいのだ。人類の真似をする理由など無い。まして、なぜ、人類の音楽など聴かねばならんのだ? 必要なのは、猿族の独自の芸術だろうが。おいらは、この仕事自体が気に入らない。』

 

 『なら、辞職しますか? 辞職なら、わたしが、直ぐにでも、お受けしますが。』


 『ばかな。すると、君が艦長になる。』


 『当然そうですね。』


 『そうは、ゆかん。』


 ゴフリラー艦長は、口は悪いが、行動は慎重でありました。


 議長の権限は、非常に強いため、艦長は結局は逆らえないわけです。


 またもし、反乱を起こしても、あの王女が介入してきたら、歯が立たないのは明らかでした。


 素早く行動した議長さんの勝ちだったわけです。


     🎊🎊🎊

 

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