『栄光の弦楽猿合奏団』 最終の6


 猿軍団は、人類の様々な軍団を打ち破ってきました。


 彼らの武器は、人類譲りです。


 ただし、彼らが強かったのは、武器だけではなく、やはり、圧倒的な身体能力と、チームワークがあったからです。

 

 しかし、この、王女さまの精鋭部隊というものは、まず、使っている武器が、猿軍団は見たこともないようなものでした。


 発射されるのは、普通の弾ではないようでした。


 それは、強力な電気の塊みたいだったのです。また、その塊は、自由自在に方向を変えるのです。さらに、必ず猿族だけにしか当たりませんし、絶対に外れないのです。また、当たっても、昏睡するだけみたいでした。


 だから、その闘いは、10分も、掛かりませんでした。


 猿軍団は、あっという間に、全滅だったのです。


 ゴフリラー艦長のスパイをしていたのは、ストラディバリウスとアマティのたちの、付き猿=マネージャー、でした。彼は、海岸に偵察に出ていました。


 しかし、それは、隊長を飛ばして艦長に連絡していただけなので、スパイと呼べるものではなかったかもしれませんが、アマティたちは知らなかったので、やはり、スパイには違いないのです。



 その報告に、ゴフリラー艦長は、さすがに度肝を抜かれました。


 『やはり、魔女軍団か。』


 艦長は、当然ながら、アマティと同じ伝説を思い出していたのです。


 すると、オランウータン族のシポク副長が叫びました。


 『艦長。島が現れます。海中からでは多分ないですが、しかし、そのように見えますね。』


 『なんだ、それは?』


 『海面が動かないです。海中からなら、動くはずです。津波も発生するでしょう。これは、非常に魅惑的な。』

 

 『どういうことだ。』


 『我々にはない、技術ですね。やはり、タルレジャ王国ですよ。艦長。あれは。』

 

 『まさかな。』


 『いいえ。そうだと思いますよ。場所的にも一致します。ただし、かなり、小さいですね。もしかしたら、伝説の北島の一部分ではないかと。』


 しかし、その島は、小さいとはいっても、すでに海上の大きな部分を占めていたのです。


 さらに、そこには、驚くべきものが、姿を現していました。



 一方、陸上では、アマティとストラディバリウスが、成り行きに圧倒されていましたが、グァルネリさんは、意外にも平然としていたのです。


 『甘く見ていましたね。みんな。あの演奏を聴いたなら、そう思うべきでしたね。』


 グァルネリさんが呟きました。


 村の方向に、何かがせり上がってきているのは、月明かりにも明らかです。しかし、衝撃はありません。


 それは、巨大な、みっつのビルディングでした。


 いまや、そこには、見たこともないような、目が眩むような灯りが多数、点りました。


 それは、いわゆる、『タルレジャ・タワー』と呼ばれた、王国の中心だったのです。


 

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