第10話
南三局 配牌からAがよい。というかAが上がれるように仕込んだ。この牌はオーラスには関係ない牌だから、仕込む必要がないと思われるが、オーラスに地味に上がるには、点数の並びも含めオーラスにまぎれが発生しないようにしないといけない。 このままいけば9巡目にAが500、1000点で自摸上がるはずだ。Cはダントツのラスで上っても俺をラスにしないといけない為、オーラスは倍満自摸条件。トップは俺で僅差でC、Bと続く。親のCはテンパっているが、当たり牌は抑えられており、上れない上に聴牌したまま流局すれば、俺に振る流れだ。
さあ、Aの自摸だ、点棒払って次に行こう、と思った瞬間。Aは上がりを崩して、Cのあたり牌を抜き、打ち出した。何故だ。確かに倍自摸条件は厳しい。だが、これで次局上れなければ、倍自摸でも無理だ。点数がトップになるには足らない。 まさかCがAをアシストしたのか。いや、それは無い。そのようにはプログラムされていないはずだ。プログラムには老人たちのチェックが入っているし、彼らは各々が個であり、機械と言うくくりで思考は出来ない様になっている。では、何であろうか。 いや、もしかして単純に、倍自摸条件にかけるより、2000点の加点、2900点の振込を考慮しても局をすすめるより、増やしたほうが良いと感じたのであろうか。確かに、跳自摸、満自摸で逆転トップであるが、倍自摸一局より困難ではないのか。あるいは次局、倍自摸で上がれないことを分かっていたのか。失敗した。 牌が吸収され、洗牌されたが俺は全局までの積み込みに集中を使い果たし、牌の動きすら見ることが出来なかった。
俺にできるのは、全てを把握している次局で圧倒的な点差をつけることだ。あとはCのサイコロしだい。何が良いかなどもう考えることは出来ない。出た目で最適手順で進めるだけだ。そしてサイコロが回った。その瞬間に出目は決まっていた。 3と6、自9。習慣なのか、9での最適解が一瞬で見えた。それは俺が上ることは出来ない未来。サイコロが止まる瞬間、椅子を引いて膝で卓を蹴り上げた。重量の思い卓は蹴り上げたくらいではびくともしないが、サイコロの目は変わった、3が1となり、対7。何とか俺が上がれる。リーチドラ一の500、1000点。これ以外の上がりは無かった。
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