最終話 桜、舞う。
病院のベッドの上。
セツナは点滴を受けていた。
典型的な栄養失調。
医者から厳重注意を受けた。
その後、ハルカがお見舞いに来た。
「ハロー、マイガールフレンド」
「……おえ」
「ご、ごめ」
「ってうっそー」
そんなやり取りが出来るほどには回復した。
あの部屋を出ても、想いを打ち明け合っても。
特に二人の関係性が変わる事はなかった。
いや、確かに変わったものはある。
二人は今や恋人だ。
だけど、それは今に始まった事と言えるのだろうか。
二人は互いに互いを愛していた。
それを伝える勇気が無かっただけ。
であるならば。
二人は今も昔も恋人だったのだ。
暴論でもなんでもいい。
二人は今、幸せで。
それを邪魔するものなどいないのだから。
それでいいではないか。
邪魔するものは馬に蹴られて死ねばいい。
そんな世界は否定してやればいい。
幸せっていうのは誰にも邪魔されない。
そういうものだと二人は思うから。
世界が世間が誰かが否定しても。
二人が肯定すればそれが『世界』だ。
「ねえ、ハルカ」
「ん?」
「好きだよ」
「うん、私もセツナを愛してる」
そっと触れた口づけは。
春風がそっと隠していった。
完
ヒッキーと太陽 亜未田久志 @abky-6102
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