第四話 片鱗

ロキは、言葉を絞り出す。


「懐柔なんて、されてない。」


荒ぶる感情に身を任せ、彼は、自分の世界に入っていく。


「そんなことな「何が悪いんだ?」い…」


何か聞こえた気がするが、気のせいだろう。


「一体、白髪赤目の何が悪いんだい?」


空気が、飲み込まれる。


彼の発する異様な存在感に。


彼の【舞台】に。


水をうったように静まり返った庭で、【舞台】が幕を開ける。


「白髪赤目。神に嫌われた者。存在自体が罪の、大罪人。【忌み子】。」


【観客】が、騒めく。僕のことを、現実がわからない幼子か何かだとでも思っていたのだろうか。


「それが、どうした?」


庭が再び静まり返る。

彼は、止まらない。


「もう一度言おう。それが、どうかしたのかい?」


剥き出しの感情に【仮面】を添えて、


己の内を、語らおう。


何故ならば、この【舞台】の主役は、


他の何者でもない、自分自身なのだから。

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