第三話 涙

しかし、その願いは叶わない。ロキは絶対に、レイアを一人にはしない。


その思いは、多分、恐らく、親愛だった。


小さな頃からいつも一緒にいる、一つ違いの女の子。忌み子と蔑まれようと、他の子に虐められようとも、折れずに、いつも自分に笑いかけてくれた、強くて優しい女の子。


そんなレイアが、泣いたのだ。恐らく、無意識に。彼女は自分が泣いていることに気づいていなかった。そして、いつものように、ロキに笑いかけようとしたのだ。


ロキは、レイアを、抱き締めた。


彼女は、ロキの行動がよくわかっていないようだった。

なぜ抱き締められたのかもわからず、オロオロとしていた。


ロキは優しく、本心を、涙を促すように話しかける。


「大丈夫、僕がいる。」


歪んだ笑顔が、涙に変わる。その涙は止まらない。

彼女は泣き続ける。

まるで、ダムが崩壊したかのように。


涙が収まる頃を待って、ロキは、抱擁をやめる。


そして、背をむけ、彼女を守るように、立ち塞がった。

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