第一章 幼少期/孤児院時代
第一話 孤児院の日常
「きゃー、大罪人よー」「おい、こっち来んな!」「忌み子やーい」
罵声が、飛び交う。一体、彼女が何をしたと言うのだろう。
「こら、そんなことを言ってはいけませんよ」
神父が、彼らを庇う。どことなく勢いがない気がするのは気のせいだろうか。
「なんでー?」「どうして忌み子を庇うの⁈」「神父様、反逆者?」
怒涛の言葉責めに、神父は口を閉ざす。
世間一般から見れば、彼らの方が正しいのだ。
【忌み子】は、神から嫌われた大罪人であり、白い髪に赤い目を持ち、整った顔立ちをしている女性のことだ。
彼女らは時代の中に突如として現れ、決まってその身を対価に、大地震、大津波等の大きな災害を引き起こす。
殺しても、意味がない。災害が早まるだけだ。
なので、彼女らは存在しているだけで、人々から忌み嫌われている。
【存在自体が罪】故に大罪人。
なので、そんな彼女を庇おうとする神父と、悪意から守ろうと小さな体を張っている彼は、特異な存在だと言えるのだ。
「ロキ〜、反逆者になっちゃうぞ〜」「忌み子なんて庇ってんじゃねーよ、ロキ」
彼の名はロキ。当年9歳。この物語の、主人公である。
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