第12話

祖父の危篤の知らせだった

伯父夫婦と祖母が病院に向かう

僕と同僚

従兄弟夫婦は留守番になった


離れの物音はおさまることを知らない


仏間に行こう

従兄弟が言い出した


四人は仏間と居間を仕切る襖を開け

煌々と部屋を明るくした


ここなら、離れから遠いし…

思わず呟く…僕


えっ…お爺さん?

従兄弟の嫁がボソリ


今、病院でしょう?

同僚が仏間を見た…へっ!

じっと仏壇を見つめる


僕と従兄弟にはわからない


なんか…聞こえるね

従兄弟がボソリ


そうだ…ね…って…爺さんの声がする

仏壇を見つめる…僕


頼む…箱を供養しておくれ…頼む

四人の頭の中でこだまするように

聞こえる…

祖父は仏壇の前に座っていると

従兄弟の嫁は言う

……お爺さん……消えたわ


僕は仏壇の前に置いてある箱を取り上げた

仮の倉庫にあるはずじゃ…


洋平…明日、寺に預けよう

工事の間、供養してもらおう

同僚が言う


そうだな…


日が上ったら、四人で寺に行く事になった


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