第13話

本堂に読経の声が響く…

神妙な面もちで合唱する僕達


祭壇に御札を貼られた箱は

和尚さんの声に抗うように

カタコトと音を立てていた


喝…

和尚さんの気合が入ると

箱は静かになった

読経が終わり

本堂で会話をする


早う、供養塔を建てねばならんのぉ

洋平、蔵の解体には気をつけなさい

井戸を見つけたら、連絡しておくれ



伯父達が帰宅したのは昼間だった

何とか保ち直したよ…はぁ~

伯父達は一睡もしていなかったのだろう

朝から工事の音が響いている

僕と同僚は現場に向かった

従兄弟夫婦は伯父達に自宅で起きた事を話し

自室に戻った


因果が深いのぅ…爺さんが最後の末裔じゃ…

誠司よ…お前さんの代になれば、この家の災いも

おさまるだろう

わしは爺さんに寄り添う覚悟がある

んん~疲れた…休むよ

目にクマをつくっている祖母も自室に下がった


あなた…

伯母が伯父の手を包むように重ねた


ん~~とにかく…やり遂げよう

伯父夫婦はお茶を一口すすった







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