第7話

眠れぬ夜を過ごした僕…

布団のまわりには湿った筋が幾つもあった

まるで…濡れた着物で歩きまわったようだ

溜息を一つ…法要の準備をしよう



蔵の前に祭壇が設けられ

檀家の僧侶が読経をあげる

そんな最中…蔵から納めてある品物が出された

品物一つ一つに札が貼られ

新しく造った蔵に運ばれていった


ん!あの箱…

カタカタと音をたてる箱…古文書とかんざしと櫛

思わず、爺さんに聞いた

まだ、供養してなかったの?


したがな…寺に預けたんだが…蔵の前に置いてあったんじゃ


どうするの?


和尚が…蔵の中の井戸に戻して

供養塔を建てるのがいいと言うとる


蔵は壊して、離れを建てるんだろう?


あぁ…供養塔も一緒にな

その離れに孫娘夫婦が暮らすんじゃよ

祖父の言葉にひんやりした空気を感じた

昨夜の出来事……ここは禁忌の中庭なんだ

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