第3話 食べたら「秒」で初夜突入?
わたしは、甘口の白ワインを飲み干すと、ちょっとだけ気分が落ちつく。(肝が座ったとも言う)
わたしは、わたしの隣りにいるお婿さん、サードを見る。
軽くウェーブのかかった金色の髪に、整った顔立ち、若干、ほほにそばかすがあるけれど、それも年相応のチャームポイントに見えて愛らしい。
ん? 年相応のチャームポイント??
「あ、あの……サード様?」
「サードで構わないよ。これから生涯をともにするんだ。堅苦しい呼び名はやめてほしい」
サードは気さくに答えると、白ワインを飲みほす。
「じゃ、じゃあサード」
「なんだい、ユウリ」
「あなたの年齢を聞かせてくれないかしら?」
「今年で16だ」
「やっぱり、あなた未成年だったのね!? お酒を飲んで平気なの!?」
「? 成人式なら去年済ませているが。というかワインを飲むのに成人しないといけないのかい? ユウリ、君のいた世界には、不思議な法があるのだな」
サードは、にこやかに笑いながら、グラスを持ち上げる。
すると給仕の女性がすばやくワインを継ぎ足した。
せっかくだから、わたしもご相伴にあずかる。
「未成年が酒を飲むのを禁じる世界からやってきたのに、君は随分と酒に強いじゃないか」
「そりゃそうよ。だってわたしは28歳よ。わたしが元いた世界では18歳で成人。でもってお酒は20から。全然大丈夫よ」
「……は? 君が28??」
わたしの言葉にサードはキョトンとした顔をして、わたしをまじましと見回す。
「こりゃあいい! ユウリ、お前が28だって?
俺の母君とふたつしか変わらないじゃあないか!」
ガーン! サードのお母さん、そんなにわかいんだ。
カルチャーショックに頭がクラクラする。
「だいいち、だ。そんなに見た目の幼い28がどこにいる?
せいぜい14歳といったところだろう?」
「ちがうちがう、本当に28歳だって」
……うーん、確かに日本人って、海外の人から見ると若く見えるって言うよね。
「なるほど、ならば君には長命の種の血がまざっているのだろう。エルフとか、ドワーフとか」
「だから違うって! わたしは純粋な日本人!」
「なるほど、君のいた世界の日本人というのは、長命な種族なのだな」
……だめだ。話が通じない。
話は平行線のまま、披露宴は宴もたけなわとなってきた。
わたしは給仕の女性に席を立つことをうながされる。
「ユウリさま、湯浴みへとまいりましょう」
「湯浴み? ああ、お風呂ね。うん。いいわよ一緒に入りましょ」
「湯浴みが終わりましたら、寝室へとご案内致します」
「はいはい。早寝早起きは健康の秘訣よね!」
わたしがほがらかに答えると、給仕の女性は頬を真っ赤に染め上げている。
ん? 寝室? ?? まてよ、それって……サードとの初夜ってこと?
まって! まって!! まって!!! こころの準備が!!!
というか、サードが16ってことは……28歳のわたしだと青少年保護育成条例に抵触しない??
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