第2話 着替えて「秒」で披露宴。

 神奈木かんなぎ遊梨ゆうり。28歳独身。

 職業、会社員。彼氏なし。生まれてこのかた28年、ずーっっとなし!


 趣味は星空を眺めながらの晩酌と、占い。特にハマっている占いが四柱推命っていう中国が起源の占いで、ものすごくざっくり言うと東洋の星占いだ。数少ない自慢は視力の良さ。両目とも2.5!


 そんな、どこにでもいる普通(……よりは、ちょっとだけ地味でオカルト好きな)わたしの眼前には、ちょっと信じられない出来事が起こっている。


 わたしはきれいな刺繍の施された真っ白なドレスを着て、となりには高身長&金髪のめっちゃイケメンがいて、どうやらわたしはこの人と結婚するそうだ。


 西洋ルネサンスな人々は、ものすごく手の込んだお料理にしたつづみを打ちながら、陽気にワイングラスを打ちつけあっている。


「サード王子バンザイ!」

「ユウリさまバンザイ!」

「おお! 我が国の希望! 星読みの巫女よ!!」


 ちょっと、なにいってるかわからない。

 わたしの頭は大混乱だ。


 とはいえ、混乱しててもお腹は減る。わたしは慣れないフォークとナイフで、流れるように供される激ウマなフレンチ? を堪能する。

(いや、フレンチってのはおかしいか……そもそもここは何て国なんだろう)


「ユウリよ。我がポートリオの料理は口にあうか?」


 となりのイケメン……じゃないサード王子は、もぐもぐとひたすらに料理を食べ続けるわたしをじっと見つめて、にこやかな笑顔をうかべている。


「は、はい! わたし、食べすぎちゃってますかね……」

「ははは! 喜んでくれてなりよりだよ!」


 う、なんだかめっちゃ恥ずかしい。わたしは大慌てでサード王子から目を逸らすと、グラスに入った甘い甘い白ワインを飲み干した。

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