巫女として異世界召喚されました。趣味の占いが的中しまくりの自分が怖いです。
かなたろー
第1話 起きたら「秒」で結婚式。
夢を見ていた。いつもと同じ夢をみていた。
わたしはどこかの国のお姫さまで、ふわふわのフリルいっぱいのドレスをまとって離宮からのぞむ美しい小川をながめている。
ほどなく、きらびやかな馬車がやってくる。馬車には王子さまが乗っていて、馬車からひらりと飛び降りると、私に向かって歯が浮くような甘い甘いプロポーズをする。
わたしは「はい」と、うなづくだけでいいはずなのに、なぜだか首が動かないまま目を覚ます。
いつだってそう。
このあとにつづく、甘い甘い新婚生活の続きを見ることは決してできないのだ。
そして今日も、わたしはなにやら騒々しい周囲のどよめきで夢の世界から目覚めようとしていた。
ん? どよめき??
「まさか! 本当に儀式が成功するだなんて!」
「伝説は本当だったのだ!」
「大樹の年、宝石の月、燭台の日に現わる黒髪の巫女の予言によって、世界はひとつになる!!」
「早く、一刻も早く挙式の準備を!!!」
なんなの? 耳元でめっちゃおじさんたちの声が聞こえてくるんだけど。
「ちょっと……うるさいわよ……」
甘い夢からひきはがす、耳障りの悪い声にぶつくさつぶやきながら、わたしは眠い目をこする。重い重いまぶたがゆっくりと離れていって視界が晴れていく。
「え? ええええ!?」
わたしの眼の前に映る光景は、ちょっと信じられないものだった。
えっとルネサンス? だったっけ? その時代の西洋っぽい服を着た人が、わたしのことを好奇な眼でながめている。
でもってその好奇な眼で見つめられているわたしは、一糸まとわぬすがただった。
わたしは、大慌てで天蓋付きのベッドに敷かれた純白のシーツで身体を隠す。
その時だった。
「ついに来たのか! 星詠みの巫女! 俺の花嫁が!!」
背が高い金髪男性が息を弾ませながら部屋へと入ってくる。
服装からして、ずいぶんと位の高い人に見える。
「我が名は、サード・リトルリバー! 星読みの巫女よ、君の名は何と言う?」
「あ……えっと、か、
「カンナギ?」
「あ、そっちは名字で、なまえはユウリです」
「ユウリか! 良い名だ!! それでは早速、結婚の儀を執り行おうぞ!」
え? どういうこと??
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