第5話 魔法少女たちの組織
「これで終わり!全身全霊全力全開!マジカル……パァァァァァァァァァァァンチッッツツ!!!」
「チ、チャリンコォォォォォォォォォォ……」
私……桃江風花の必殺パンチを受けた自転車型の夢魔は断末魔をあげながらハートの粒子となって消えた。
「うおおおおおおお!!マジカルピンクが助けてくれたぞおおお!!」
「いつもありがとうねー!!」
「お姉ちゃーん!ありがとーーー!」
町の人たちが夢魔を倒した私に歓声とともに感謝の言葉をかけてくれる。
この声がいつも私が化け物と戦うための勇気になる。
でも私たちは万が一にも正体を知られるわけにはいかない、だからこそサムズアップだけを皆に見せると早々にその場を去った。
シュウと静かなモーター音とともに横開きの真っ白なドアが開く。
そこから中に入ると大きな空間が見える、中にはパソコンに向かっている人がいて、いる人数は12人で一人を除いてほぼ全員が同じような白い制服を着ている。
「今回も迅速な対応だったわ、マジカルピンク」
唯一黒の制服を着た女性、ここの長である総司令官を務める
黒髪が綺麗なスタイルの良いお姉さんって感じで見た目も中身も落ち着いた人だ。
ここの司令部は魔法少女を支援するための施設で私達が耳に装着しているインカムから夢魔が発見された時夢魔の様子や位置を知らせてくれる。
正体不明の魔法少女達…そう世間では認識されているがこの国の全国民に隠し通すことは無理に等しい。
だから政府が立てた組織、魔法少女支援協会は魔法少女として選ばれたものを支援するためにこうした司令部を設けて私達魔法少女の正体を普段の生活に影響が出ないように隠してくれている。
ただ守ってもらう分、こちらも日本の安全を保護するために夢魔の情報や周囲の状態などを報告する義務があった。なので私はここに夢魔の報告をしに来たのだった。
「自転車の夢魔………夢魔出現要因の要素を信頼するのであれば駅の駐輪場に放置された自転車達の怨念が溜まった…と言うべきかしら」
「はい、私が到着した時に夢魔がいたのは駐輪場付近でしたし、停められていた自転車も大半がチェーンが錆びていたりハンドル部分が朽ちていたりしました。」
チェーンが錆びていたりどこかが朽ちているのは絶対に放置された自転車と言えるわけではないが放置されて雨風に晒された可能性は十分に考えられる。
倉本さんもそれを分かっているのかふむ…と呟いて近くにいた職員に記録を取らせていた。
「情報提供感謝するわ、マジカルピンク」
「いえ、当然の義務ですから」
私の言葉に倉本さんは真面目ねぇ…と呟くと少し緩んだ空気を引き締めるように表情を固める。
「そういえば前回の件……黒服を着た謎の人物には会えたのかしら?」
倉本さんが言っているのは私達の学校付近で木の夢魔が出た際に同時に現れた黒服を着た謎の人物の事だ。
あの時私達はその黒服の人物が夢魔かどうか怪しんでいたのだけれど後々調査を入れてもらった所木の夢魔を目撃したとの情報があり、暴れていたのは黒服の人物ではなく木の夢魔だと言うことが分かった。
その証言をしてくれていた人は直接夢魔に襲われた女性で、その女性は私達の学校の制服を着た男子生徒に助けられたらしい。
勿論そちらの捜索もしたのだけれと近くにそれらしい痕跡は見つからず黒服の人物はその生徒ではないかと今は考察されている。
ただ今回は現れなかった。その事を倉本さんに伝えるとまたふむ…と頷いた。
「もし君たちの通う学校……芯間高校の生徒がその人物ならば今回の夢魔出現にも現れるかと思ったが……そう簡単に遭遇出来るものではないらしいな」
倉本さんはこの町は幾らでも面倒な情報が湧いてくるなと愚痴を溢すと私に今回も夢魔を倒し被害を防いだことへの感謝の言葉と今日は解散だという旨の言葉を伝えてくれた。
私は特に居座る理由もないので失礼しますと言って施設を後にした。
プルル、プルルと携帯が鳴る。
誰だろうと画面を見ると着信にカホと表示されていた。
「夏穂ちゃん?どうしたんだろう」
私は特に忙しくもなかったので通話を開始する。
「もしもし」
『こんにちは風花さん、今少し良いかしら…』
ピッと通話を切り私はふぅと息を吐くとカーテンを開けて庭の植木をぼうっと眺める。
「風花さんとの特訓、楽しみですわね」
私が先程取り付けた予定を思い出し楽しみに思っているとコンコンとドアがノックされる。
『夏穂様、今よろしいでしょうか』
「構わないわ、入って頂戴」
『失礼します』
ガチャリとドアが開き、メイドの
「旦那様より伝言を賜っておりますのでお伝えしに来ました」
「父上から?う~ん私何かしたかしら」
「お伝えします。『剣の特別講師を用意した、存分に学べ』とのことです」
麻野からその言葉を聞いた私は思わず目を輝かせて立ち上がってしまう。
「本当!?」
「はい。水信家にとって武術……特に剣は命のようなもの。今までは基礎に重きを置いていたがそろそろ発展を学んでも良いとの判断のようです」
願いに願っていた父上からの言葉に私は思わずガッツポーズしそうになる。
だがなんとかそれを抑えて極めて落ち着いた風に装うとまたふぅと息を吐く。
「それで、その方とはいつお会い出来るのかしら?」
「来週の土曜日とのことです。開始時間は夏穂様が決めても良いとの事ですが如何いたしますか?」
「そりゃあ決まっているわ!!」
「朝の5時から!!」
────
『次回予告!!』
こんにちは倉本加奈子です。
あ、ちょっと失礼…ゴキュゴキュ…ぷふぅ……あ~生き返る~!あ、これれすか?ビールれすビール!
おしゃけ飲まないへひっかりじかいよろるひろっへ?らって~!いま職務中じゃないれすよ~?今日は大変らったのれこれくらい許してくあさぁい!
んえ~あ!次回!『朝から落とされる爆弾。そりゃもうバーン!よ』をお楽しみに!
うぇへへへ!○っちゃんイカおいしー!
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