第2話 ロリコン疑惑
そんなこんなで三人でポテチでも食べていると。
「悟志君これから暇?」
「あぁ」
時間は日曜日の昼下がり。暇人の私にはこれと言って用事は無いのであった。
「子供食堂に行って夕ご飯を作るの」
はー、流石、シスターだ、社会貢献もしているのか。
「いいぞ、一緒に行こう」
それから、教会から商店街の方に十分ほど歩くと、子供食堂が見えてくる。中に入ると小学生が何人か居た。
「あ、唯シスターだ」
うむ、唯はこの子供食堂で人気者らしい。
「ええええ、唯シスター、今日はロリコンを連れてきたの?」
「はい、ロリコンです」
唯は子供達の問いに『ロリコン』と言うのであった。おい!誰がロリコンだ!唯も肯定するな。しかし、子供と言う生物は残酷である。
女子が何人か私にくっついてくる。
「ロリコン、ロリコン」
「だから、ロリコンではない!」
「うぁ、ロリコンが怒った」
更に女子達は私の体を登ろうとする。いかん、こんな事をしていたら。捕まる。
必死に振りほどくと、私は何とか女子達から逃げる事ができた。
ふーう、純粋な愛って怖いな。
ホント、捕まるところであった。しかし、私の仕事は子供の遊び相手である。料理ができないので当たり前であった。
ここはボードゲームで時間を潰そう。私は人生ゲームを取り出す。
「えー人生はそんなに甘くないよ」
皆がそんな事を言い出す。そっか、ここに居る子供達は家庭の事情で夕ご飯さえ食べられないのだ。
私は反省してウノに切り替える。
一通りゲームを進めるとボロ負けであった。でも、やりがいがあるな。
こんな時代だ、子供達を守る仕事は生きがいになりそうだ。
「悟志さん、負けた罰ゲームは脱衣だよ」
……可愛くない、可愛くない……。
子供なんてキライだ。
「皆、ご飯ができたよ」
その瞬間、唯が厨房から声をかける。
『わーい』
よかった、脱衣しなくて済みそうだ。
すると、一人だけご飯を食べない子供が居る。
「どうしたの?」
「僕の運命は残酷過ぎる。両親が離婚して母親に引き取られたけど、父親が破産、養育費は無くなり。でも、母親はスマホゲーにハマって働かない。これが現実だよ」
……。
私は何ができるのだ?この世界に絶望した子供に……。
「将来の夢はあるのかい?」
「一度だけ、YouTubeで観た、ピアニストになりたい」
ピアニストなんて子供の頃からみっちり勉強しないとできない仕事だ。
ここはアレをしよう。
私はコインを一枚、取り出して机の上に置く。右手でコインを隠して左手も机の上に置く。私はコインを下に落として両手を上げる。
「ほら、消えた」
「ふふふふぅ、下に落ちているよ」
「消えたから問題ない」
子供に笑顔が戻った。
私は、やはり、この時代の子供を守ってあげる事にした。
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