ロザリオを拾ったらクラスのシスターからモテモテになる件

霜花 桔梗

第1話 シスターからモテモテ

 新緑の息づく五月の終わりの事であった。校内の並木道は校門から校舎まで長く続き、この西薗台高校は地域の高校との統廃合でマンモス校になった。


 そして私は『有賀 悟志』と言う名前である。しかし、自分の名前などどうでもいい。


 それは少しの五月病で憂鬱な日々を送っていたからだ。


 授業までギリギリの時間であったがのんびりと歩く。


うん?


 光モノを発見。私は輝きの元に近づく。それはロザリオであった。


 落とし物か……。


 よし、授業を休む理由ができた。私はロザリオを落とし物として届ける為に事務室に向かう。


 事務棟は正門の隣にある。並木道から駐車場の方に向かい、事務棟に着く。事務室のカウンターで職員さんに声をかける。


「あのー落とし物ですけど……」


 私がロザリオを取り出した瞬間に『ドドドド』と走る音が聞こえる。飛び込んできたのは同じクラスの『茗花 唯』であった。


「わ、私の大事なロザリオが届いていませんか?」


 唯は家が教会なのでシスターをしていることが有名である。つまりは、このロザリオは唯の物であったか。私が唯にロザリオを見せると……。


「おおおおお、心の友よ、届けてくれたのか?」

「は、はい」


 相変わらず濃いキャラだ。シスターをしているのに恥じらいの欠片もない。私が唯にロザリオを手渡すと大きくハグをしてくる。唯の体は私より一回り小さいのに大きめの胸がムギューと当たる。


「は、は、は、離れろ、恥ずかしいだろ」


 私が唯のハグを振りほどくと唯はつまらなそうにしている。


「落ち着いたか?大切なロザリオが戻ってきて良かったな」

「はい!」


 しかし、シスターか……私の知らない世界だ。最近の憂鬱なこの五月病を相談してみるか。


「せっかくだ、こんど唯の教会に行ってもいいか?」

「問題ありません、大歓迎です」


 結果、私は日曜の礼拝に参加することになった。


 そして、次の日曜日、私は礼拝が終わり唯の部屋でまったりしていた。礼拝のシーンがない理由は作者が詳しくないからだ。


 おっと、話が脱線した。


 うん?


 唯がシスターの制服から私服に着替え始める。たわわな胸のブラやセクシーなパンツが丸見えだ。


 コイツ、私を男子だと思っていないのか?


「唯、私は男子だぞ、目の前で着替えていいのか?」

「君はロザリオを届けてくれた心の友だ、その辺の男子とは違うのだ」


 さいですか……ま、本人がいいならこれ以上言うまい。


 しかし、女子の部屋など初めて入ったが甘い匂いがするな。ぬいぐるみが数個ある他は私の部屋と違いが無いのに空気の質が違う。缶詰に摘まめて持って帰りたい気分だ。


「えへへへへ、化学の課題を手伝ってくれないかな?」


 上目づかいで見るな、ホント手のかかるシスターだ。私は渋々、勉強の面倒をみることになった。


「この共有結合の結合エネルギーは……」


 私は参考書を片手に課題に取り組む。すると、部屋にノック音が響く。


「こんにちは、姉の一葉です」


 むむむむむ……。


 エロい!


 シスターの制服が淫乱女子に見えるほどエロい。


「あら、視線を感じるわ。よく見れば、シスターの制服でしたね」


 私が凝視していたのがバレたらしい。一葉さんは部屋のドアを閉めると一旦戻るようだ。それから数分後、ブラウスとスカート姿で再び一葉さんが現れる。


 エロくない……。


 普通の優しそうなお姉さんだ。シスターの制服に着替えると人格が変わる様子でもないし。


 コスプレ効果か!!!


 何かとても失礼な妄想が広がる。神様に仕えるシスターの方がエロいとはこれいかに。私が妄想に浸っていると。


「あら、唯ちゃんの彼氏、可愛くて美味しそうね、お姉さんも混ぜて」


 これはモテモテの予感がするな……。


「お姉ちゃんには愛が無いよ」


 私が戸惑っていると、唯が膨れた様子で一葉さんに強く抗議する。


「まあまあ、私は共産主義者ですよ」

「もう!お姉ちゃんのバカ!!!」

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