最終話:語り継がれた伝説

村は紅の悲劇を胸に秘めながらも、それを後世に伝えることに決めました。紅の赤い着物は、彼女の美しさと不幸な運命を象徴するものとして、村人たちによって大切に保管されました。


それから数年が過ぎ、村は怪奇現象が続くことなく、平穏な日々を過ごしていました。紅の悲劇は次第に風化していき、新しい世代が成長しました。しかし、赤い着物にまつわる物語は村の中で語り継がれ続けました。


ある日のこと、紅の悲劇が再び村に舞い戻ってくるような事件が起こりました。村の若い女性の一人が、紅の赤い着物を身に着けて街に出かけた後に行方不明になったのです。


村人たちは恐れを抱えながらも、村全体で捜索活動を開始しました。数日後、彼女の遺体が山の中で発見されましたが、身に着けていた赤い着物は無くなっていました。ただし、彼女の遺体には不気味な赤い手形が残されていました。


この事件以降、村では赤い着物を着ることが非常に危険だと認識されるようになりました。そして、紅の赤い着物を身につけることが不幸を呼び込むと信じられるようになりました。村の人々は赤い着物を身に着けることを避け、紅の悲劇を後世に伝えるためにその物語を大切に守りました。


時が経ち、赤い着物にまつわる伝説は村の伝統として根付きました。村の子供たちは、世代を超えて語り継がれるこの怖い話を聞かされ、赤い着物を着ることの恐ろしさを教えられました。


そして、ある夕暮れの日、再び村に謎めいた男が現れました。彼は長い黒い髪を後ろで結んでおり、不気味な笑みを浮かべていました。村人たちはその男を見るなり、恐怖を感じました。彼こそが紅の悲劇を引き起こしたと噂される怪物ではないかと疑いました。


村人たちは恐れを抱えながらも、その男に対して親切に接しました。彼を憎む気持ちと同時に、彼の正体を確かめることを望む者もいました。


その夜、村は不気味な静けさに包まれました。人々は怪物が何を企んでいるのかを警戒し、灯りを消して家に閉じこもりました。村全体が緊張に包まれている中、村の長老たちは密かに怪物の行動を監視していました。


次の日の朝、村人たちは驚愕する光景を目にしました。村にはもう一人の謎めいた女性が現れていたのです。彼女は赤い着物に身を包み、美しい容姿を持っていましたが、彼女の瞳には不気味な輝きがありました。


彼女は静かに村を歩き回り、一度も口を開くことなく、村人たちに見つめられるだけでした。彼女が何者なのか、彼女が持つ赤い着物には何が秘められているのか、村人たちは不安を募らせました。


村の長老たちは、紅の悲劇が再び起こることを恐れ、村人たちに呼びかけました。「彼女を迎えるな!赤い着物をまとっている者は、村に災いをもたらすのだ!」しかし、村人たちは好奇心と恐れの入り混じった気持ちから、その呼びかけを無視してしまいました。


そして、村には再び不穏な空気が広がり始めたのです…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

紅の呪い ― 赤い着物にまつわる怖い伝説 O.K @kenken1111

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ