二日目⑨
「...やっと終わった...」
生徒会室で本当に疲れたようにそう呟く秋葉。
「秋葉さん。いっちょ前にため息なんてついているけど、あなたはただ牛丼を運ぶ係だっただけでしょ?」
「...紅愛はただの受付だったからもっと楽だったと思うが」
「何を言ってるんですか澪未矢先輩。金も払わないで入ろうとする底辺どもの対応で大変だったんですから」
そういえば今日は他校の柄の悪い奴らもいたな。
「...お前、暴力とか振るわれなかったのか」
「なんですか澪未矢先輩?まさか私のことを心配してくれているんですか?」
「べ、別にそんなんじゃねぇし...//」
ってなんで俺がデレてるんだよ。
「確かに暴行まがいのことはされそうになりましたが、私の戦闘スタイルの前では手も足も出ませんでした」
そういえば紅愛って運動神経がめっちゃよかったんだった。
「だからもし澪未矢先輩がチンピラに絡まれたりしたら私が助けてあげます」
「紅愛...//」
いかんいかん。
どんどん紅愛に甘えたくなってくる。
「あのさー。ラブコメならよそでやってくれないかな」
秋葉が俺たちのやり取りを見て呆れたようにつぶやく。
「秋葉さん。これはラブコメじゃなくてエロゲよ」
「ならなおさらよそでやりなさいよ。てかずっと気になってたんだけど、アンタたちいつから名前で呼ぶ関係になったの?」
「ついこの間ラブホに泊まった時からよ」
「...ついにセフレ関係に」
おいおい待て待て。
まぁ俺もその気があったからあながち否定できないが。
「それよりも秋葉さん。アンケートの集計は終わっているのかしら?」
「もうとっくに終わってるわよ」
「...ちなみに一位は?」
「断トツで2年B組」
「だと思った」
あの大繁盛はもう一位以外ありえないな。
「これで優秀賞も決まりね」
案外早く終わったな。
「それじゃ次は閉会式の準備ですね」
「...それって俺も何か役割あるの?」
「いえ、閉会式はただ優秀賞の発表と文化祭実行委員長と生徒会長がスピーチするだけですから」
「ならよかった」
これでやっと今回の文化祭の肩の荷が下りたな。
「あ、ちなみに優秀賞に選ばれたクラスの代表に私がインタビューすることになっていますから」
「...え?」
いや、聞いてないぞ。
「だから誰が先輩のクラスの代表か決めてくださいね」
「いや、ちょっと待て」
「なんですか?」
まぁクラスの代表がスピーチすることはまだ納得できる。
ただ
「なんでお前がインタビューするんだ?普通実行委員長だろ?」
「そんなの私が会議で申し出たからに決まってるじゃないですか」
とてつもなくいやな予感がする。
「そんなに心配いりませんて、ただ一位に選ばれた感想とか裏話を訊くだけですから」
その裏話という部分が怖いんだが。
「ほら、先輩は早くクラスに戻って代表者を決めてきてください」
クラスに戻って事情を説明する。
「そんなの夜崎君一択じゃん」
そう言うと思いました。
「いや、でもこういうのはクラスの実行員とか、発案者とかが」
「実行員は夜崎君にやってほしいって言ってるし、長谷川君はずっとふさぎ込んでいるし」
長谷川はまだ教室の隅で体育座をしていた。
「確かにあれはだめだな」
俺が長谷川を諦めると、いきなり多数決を取り始めた。
「代表者インタビューされるのは夜崎君でいいと思う人」
「「「「「「「「はーい!」」」」」」」」
でた。数の暴力。
俺みたいな陰キャは大体数には逆らえない。
「それじゃ夜崎君、生徒会長に伝えてきて」
「...はい」
まぁ紅愛もさすがに大勢の前で訊いていい質問とタブーの質問は分かっているはずだ。
...分かっているはずだよな...?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます