二日目
今日は文化祭二日目。
生徒たちは朝の準備のために通常より早く登校している。
一応生徒会の仕事もあるので俺はクラスよりも生徒会優先としている。
「あの...友達から聞いたんですけど」
スマホをいじっていたら秋葉が話しかけてきた。
てか秋葉にも友達ができたんだ。
「女装して猫耳つけていたってマジっすか?」
少し笑いをこらえながら訊いてきた。
「本当だよ。今日もその役をやらされるけどな」
学校の生徒だけならまだ耐えられるが、一般の人に俺の猫耳姿を見られるとなると...
来年の志望者が減らないことを祈るばかりだ。
「...先輩、まさか自分の姿を見て欲情したりしないですよね」
紅愛が口を挟んできた。
「...今まで自分をオカズにしたことはない」
「私はありますけどね」
どうでもいい情報ありがとう。
自分をオカズにするとかどんだけ溜まってたんだよ。
「で、今日の仕事ってのは閉会式で優秀賞を発表することだけか?」
成陸学園のホームページにどのクラスの出し物が一番優れていたかのアンケートが配信されている。
それで一番表を集めたクラスが優秀賞となる。
「そうです。大丈夫ですよ、機械音痴な先輩には何も頼みませんから。心起きなく雌猫を演じてきてください」
その単語昨日も言われたぞ。
「あ、先に言っておきますが私は先輩の女装メイドカフェに一時間ぐらい滞在するのでそこらへんよろしくお願いします」
普通に迷惑である。
「...そんなに滞在して何するんだ?」
「べ、別に先輩の猫耳姿をオカズにする気なんてないんだからね!?」
全くかわいくないツンデレセリフだな。
「まぁどうせ神楽さんや芯珠さんも来ると思いますけど」
それはもう確定事項だな。
今日の朝何故か神楽は張り切っていて普段着ないような男用のスーツを着ていたからな。
ご主人様のつもりなのか。
「そうだ先輩、いっそ首輪も付けたらどうですか?そっちの方が先輩も興奮するでしょ?」
「...興奮します」
栄那や神楽にそのリードを引っ張ってもらうっていうシュチュエーションは普通に興奮する。
「あ、何だったら私がリードを引っ張ってあげましょうか?」
紅愛はないな。
「それじゃそろそろ開始時間なので教室に戻りましょうか」
生徒会室から退出し、自分のクラスを目指す。
「お、澪未矢早くしろって」
教室に入ると長谷川が手招きをする。
「...メイクか?」
「当たり前だろ。あと女子たちから要望があったんだけどな、お前だけもっと露出を増やした方がいいと思うんだよ」
「...は?」
いくら女装して猫耳をつけていると言っても俺は男なのだが?
「いや、俺腕毛もすね毛も濃いぞ?」
「?何言ってるんだ?お前全然毛生えてねぇだろが」
言われてみればそうだ。
”俺”は毛深い方だったが、夜崎澪未矢は違うみたいだ。
「それにほら、そうした方が雌猫感が出て興奮するだろ?」
だから雌猫って言われて興奮するのは相手が女の先輩の時だけだ。
「夜崎君、早くこっち来て」
おいおい、俺を呼びメイク担当の目が血走ってるじゃねぇか。
そんなに露出が多いのか?
「それじゃ検討を祈ってるぜ澪未矢」
そこから俺は入念にメイクをされ、メイド服もいろいろと調整された。
「......」
「澪未矢、さすがの俺も同情するぜ」
結果的に俺は胸をさらけ出したブラジャーを強調するようなメイド服を着させられた。
「てかお前全然胸ねーじゃん」
あってたまるか。
あとスカート短!?
「これは呼び名はまな板雌猫に決定だな」
雌猫の部分は絶対入るんだな。
その後配置などそれぞれの役割の最終的な確認がされて、いよいよ文化祭が始まった。
「まぁ開始早々客なんて来るはずないよな」
そう言って休憩していたのだが、
「おい澪未矢。スーツを着た高校生ぐらいの女の子と大人の女性がずっとスタンバっていたぞ」
「......」
とりあえずまずトイレ休憩に行こうかな。
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