スーパーで
「ここのスーパー値段高すぎだろ」
俺のクラスは今放課後に女装メイドカフェを作っている。
だが、俺たち男子はただ女装してメイドをすればいいだけなので特に準備することがない。
裏方の仕事は全部女子がやってくれている。
今日の放課後から女子は早速いろいろと準備しているのでその差し入れということで何故か俺が近くのスーパーで食料や飲み物を買ってくるということに決まったのだ。
「長谷川の野郎、こういう時に限って塾がとか言っていきなり真面目ぶりやがってよ」
いつものダチとのゲーセンはどうしたんだよ。
「なんでメロンパン一つでこんなにするんだよ」
正直他の店で売っているメロンパンと外見は何一つ変わらないぞ。
文句を言いながらも女子への差し入れを選んでいると
「あれ?秋葉?」
偶然秋葉と会った。
「あ、夜崎先輩こんにちは」
相変わらず冷たい挨拶だな。
「秋葉もクラスメイトへの差し入れを選んでいるのか?」
「いえ、自分への差し上げを選んでいます」
?自分への差し入れってどういうこと?
「そういえば秋葉のクラスの出し物ってなんだっけ」
「..私のクラスは牛丼屋ですよ」
そうだった。牛丼屋だった。
「あの、もう二回目ですが私が発案したわけじゃないですよ。クラスのアホな男子が提案しただけです」
「男子でも文化祭の出し物に牛丼屋を提案する奴なんてなかなかいないぞ」
こいつ男子への偏見強そうだな。
多分俺もよくない偏見を持たれている気がするが。
「でもなんで自分への差し入れを買うんだ?まさかお前が牛丼を作るのか?」
「そんなわけないでしょう...自分への差し入れを買ったのは文化祭中の生徒会の仕事があるからに決まっているじゃないですか」
そういえばそうだった。
「...もしかして先輩、サボるつもりでしたか?」
「いや、ただ忘れていただけだ」
正直サボりたい。
どうせクソめんどいし。
「というか赤条寺会長はどうしたんですか?」
ちゃんと会長って言えてる。
「紅愛か?クラスの出し物で忙しんじゃね?」
「え?ちょっと待ちなさい。今先輩赤条寺会長のこと紅愛って呼びましたか?」
しまった。ちゃんと説明しとくんだった。
「いつから名前で呼ぶような関係になったんですか」
ここは正直に話すか。
「実は昨日紅愛の家に泊まってな」
「つまり一緒のベットで一夜を共にしたというわけね」
先読み凄いな。
「...ちなみに言っておくがお前が喜ぶようなことはしていないぞ」
「別に喜ばないし!私のことを赤条寺会長と間違えるな!」
確かに紅愛が期待しそうなと言った方が的確だったな。
「で、秋葉はなんで紅愛を探しているんだ?」
「まさか夜崎先輩忘れたんですか?」
「忘れた?何を?」
「今日は各クラスの出し物で何か違反がないか確認するために回るのと、ギター部や演劇をするクラスの会場づくりをする予定なんです」
初耳だぞ。
「生徒会の予定表渡さなかったかしら?」
もらってないです。
てか普通そういうのは生徒会長が配らなくちゃだめじゃね。
「まぁいいわ。とりあえずその差し入れをクラスメイトに届けたら私と一緒に会場の設営をするわよ」
「えー俺もやらなくちゃダメ?」
「当たり前。大丈夫、設営と言っても夜崎には椅子出しぐらいしか頼まないから」
今呼び捨てした?
「にしてもここのスーパーの物価は高いですね」
「それな」
なんでこんなに大きくもないスーパーの物価がこんなに高いんだと思っていたのは俺だけじゃなかったらしい。
「でも夜崎はこんな値段楽勝でしょ?」
「どういうこと?」
また呼び捨てしてるし。
「だって私の家に対してマウントとったわよね。俺の屋敷と比べると豚小屋みたいだなって」
確かに紅愛が勝手に言ったのは覚えているがまだ根に持っていたとは。
こいつ意外とめんどくさいな。
「ほら、優柔不断アピールしてないで早く選びなさい」
「...お前相手にアピールなんてしたところで意味ないだろ」
つい心の声が漏れてしまう。
「それ、結構傷つくわ。また不登校になるわよ?」
自分の不登校を脅しに使うのは最高にダサい。
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