気まずい登校
「で、なんで赤条寺さんのタワマンのロビーから兄さんが出てくるんですか?」
朝、ベットから起きた俺は早速制服に着替え学校に登校しようとした。
紅愛ももう起きていて、制服に着替えようとしていた。
そこから二人で朝ごはんを食べて、俺も学校の支度をし、二人で一階まで降りた。
そしてロビーを出たら神楽と芯珠が待ち伏せしていたというわけだ。
...うん、なんで?
「えーっと紅愛、昨日しっかり屋敷に連絡したのでは?」
「あ、うっかり忘れていました」
おい。
絶対忘れていなかったろ。
こうなることを予想して連絡しなかったな。
「澪未矢様、どこかにお泊りになられるのでしたらご連絡してくださいとお願いしたのをもうお忘れになられたのですか?」
芯珠もだいぶ怒っているぞこれ。
「先輩~。なんか神楽さんと芯珠さんがよくわからないこと言ってきていちゃもんつけてくる~。怖~い」
怖いのは俺だよ。
「ちょっと何兄さんの腕にしがみついてるんですか!?」
「え~だって昨日あんなことしちゃったもんねぇ~」
「...澪未矢様、どういうことですか」
芯珠の声が少し低くなった気がした。
「ちょっと待ってくれ、誤解だ。紅愛も誤解を招くようなことは言わないでくれ」
「あの兄さん、さっきから気になっていたんですけどなんて赤条寺さんのことを名前で呼んでいるんですか」
「いや、それはちょっと親密な関係になったというか...」
「澪未矢様、どのような過程を得て親密な関係になったのでしょうか?」
妙に芯珠が食いつくな。
「と、とにかく兄さんから離れなさい!」
我慢の限界に達した神楽が俺から紅愛を引きはがす。
「とうとう暴力系ブラコンに進化しましたか」
「ブラコンじゃありませんしなんですか暴力系って!」
「そういえばヤンデレシュチュボの台本でもよく暴力系妹ものってありますよね」
おい、ここでこの発言はやめろ。
「え、に、兄さんそう言う趣味があったんですか?」
普通そこは引くのに何ちょっと嬉しそうな目をしてんだよ。
「赤条寺様、メイドもののシュチュボ台本はないのでしょうか?」
だからさっきからなんで芯珠はこんなにも積極的なんだ。
「ここで言い争っていたらご近所に迷惑だろ。とりあえず学校に行くぞ」
まだ登校するには早い時間だが、もうこの空気に耐えられなかった俺はそう切り出す。
全員芯珠の車に乗り登校することになった。
「...芯珠さん。この道は成陸学園とは逆方向な気がするのですが」
確かに紅愛の言う通りこの道はどんどん成陸学園と離れて行く。
「本当に自己中な人ですね。まずは私の聖神女子に行くのが常識でしょう」
効率的に見ると先に成陸学園に行った方がいい気がするが。
「なんですか兄さん?無断で後輩の家に泊まった分際で何か言いたそうにしていますね」
なんかいつもの神楽と比べて言葉の棘が多い。
「どんどん神楽さんがドS系妹になっていきますね」
やっぱり紅愛が原因か。
しばらく車が進んでいくと、成陸学園とは比べ物にならないほど外見が上品な建物が見えてきた。
「私の高校が見えてきましたね」
少しマウントを取るような言い方をする神楽。
「ちなみにいっときますけど神楽さん、私聖神女子模試で合格率ずっと90%をたたき出していましたから」
対抗するべく、紅愛からもよくわからないマウントが発せられる。
「では神楽様、お気お付けて」
聖神女子の前まで来たところで神楽が車から降りる。
「なんか後ろ姿ムカつきますね」
ただ悪態つきたいだけだろお前。
聖神女子から成陸学園まではかなりの距離がある。
「そういえば先輩、今日から文化祭の準備が本格的に始まりますね」
今日から放課後残って文化祭の準備をすることが可能となる。
「先輩のところは女装メイドカフェでしたっけ」
やめろ。言うな。
「先輩ってそういう趣味があったんですね。まさかヤンデレ男の娘シュチュボも聴いてるとか?」
「言っておくが発案者は俺じゃないからな」
長谷川の野郎。なんでこんな提案してきやがったんだよ。
「そう言う紅愛はお化け屋敷だったっけ」
「はい。やっぱりテンプレが最強だということを証明させてあげます」
どういうこと?
「そういえば成陸学園の文化祭は一日目は生徒だけですが、二日目は一般の人も来ていいみたいですから芯珠さんも来てくださいね」
紅愛から突然話題を振られて体をビクッとさせる芯珠。
「な、なんだしょうか赤条寺様」
「だからもちろん芯珠さんも文化祭には来ますよね」
「ええ、もちろんです。澪未矢様のご活躍を生で見ないわけにはまいりません」
俺の場合は活躍じゃなくてただただ破廉恥な姿を見られることになりそうだが。
「もちろん私のクラスの文化祭にも来てくれますよね?」
「!?」
なるほど。
要するにまだ肝試しのことをネタにするつもりなのか。
「は、はい。お化け屋敷というただの子供の遊びに私がビビるはずもありません。喜んで参りましょうではありませんか」
芯珠、うまく乗せられてるよ。
芯珠さんが文化祭に来ることを誓ったところで学校が見えてきた。
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